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件名

請願第10号 (平成30年) 「議会と市民の情報共有」および「議会運営における市民参画と協働」を保証する議会基本条例は、議会改革の中心課題と位置づけ、審議を始めることを求める請願

受理日

受理日:平成30年12月11日

付託委員会

付託委員会:議運
付託日:平成30年12月11日

議決結果

議決日:平成30年12月27日
議決結果:不採択

紹介議員

緒方夕佳

内容

主 旨
一 議会基本条例については、全国的にも県内でも出遅れている。
  二 議会基本条例制定は「議会改革」の背骨であり中心的課題である。
三 議会基本条例について意見を交わすことが「議会改革」につながる。
  四 議会基本条例の審議については、全議員参画・提案および市民参画型で行っていくことを期待する。

 理 由
一 議会基本条例については、全国的にも県内でも出遅れている。
(一)議会基本条例制定を中心にして、「議会改革」のうねりが全国規模で起きている。
   全国一,七八八自治体の七〇〇以上(四割以上)、政令指定都市では二〇議会のうち一六議会(八割)で、熊本県下では一五市町村で制定されている。熊本市は連携中枢都市であるが、その連携する一六市町村のうち議会基本条例を制定している自治体も拡大している。
   この歴史的な地方議会の転換期に、熊本市議会が議会基本条例制定に歩みだすか、「残り四政令市の中でラストランナー」になるのか、重大な態度表明が迫られている。
(二)福岡市では議会基本条例制定に動き出した。
   福岡市議会については、「西日本新聞」(二〇十七年六月二十日)で以下のように報道されている。
   https://www.nishinippon.co.jp/feature/local_councilor/article/336797/
   福岡市議会の議会改革調査特別委員会(打越基安委員長)が六月十九日開かれ、改革の「本丸」である議会基本条例について本格的な協議に着手した。政務活動費不正など全国的に地方議会に厳しい目が向けられる中、特別委は全会派一致の原則の下に一歩ずつ前進してきたものの、最新の議会改革度ランキングで福岡市は二〇政令市中、一五位。改革のシンボルとなる議会基本条例を巡っては各会派間で温度差もあり、議論の行方が注目される。
      特別委は二〇十五年九月、小畠久弥議長が主導し、公開性の向上や住民意見の反映などを付託事項として発足した。これまでに、請願審査時に紹介議員が趣旨説明をしたり、他の議員との間で質疑をしたりできるようにするなど、一定の具体的成果を出してきた=以下参照。
      福岡市議会改革の決定事項
      A 常任委員会の議案の請願の採択を傍聴者に公開(二〇十五年十二月定例会から実施)
      B 請願審査時、紹介議員に対して他の議員が質疑をできるようにする(二〇十六年九月以降に受理した請願で実施)
二〇十六年五月まで委員長を務めた川上晋平市議(自民)は「市民にオープンで分かりやすい『見える議会』を目指している。市議選の投票率向上にもつなげたい」と話す。
一方、早稲田大マニフェスト研究所が今月公開した二〇十六年度の議会改革度ランキングでは、福岡市は前年度から順位を一つ下げた。ランキングは議会が果たすべき役割として三つの柱を挙げているが、二〇政令市中、「情報共有」九位、「住民参加」一七位、「機能強化」一八位と低い。巻き返しには、福岡、仙台、大阪、熊本を除く一六政令市が既に制定済みの議会基本条例がカギになる。
福岡市議会改革委員会では、二〇十五年から付託事項(一)の「議会改革に関する調査」を、二〇十七年一月からは付託事項(二)の議会基本条例に関する調査を行い、福岡市議会は議会基本条例に関する調査のため、識者による参考人として二〇十七年十二月一日に金井利之教授(東京大学)を、二〇十八年一月十五日に廣瀬克哉教授(法政大学副学長・行政学)を招致した。
二 議会基本条例制定は「議会改革」の背骨であり中心的課題である。
(一)議会基本条例は、「議会のあり方と議員の責務」の事項についての「最高規範」という性格を持ち、この条例の趣旨に沿って議会に関する条例、議会規則、議会告示等を見直し、議会活性化と議会改革を議会に求めている。
(二)この条例は「議会と市長・執行機関の原則的関係」と「議会の役割と責任」を定める。二元代表制の下、独立対等の関係である議会は、議事機関として熊本市行政の《意思決定》を行い、地方公共団体の行政全般について《政治的責任》を負っている。行政執行の構想・計画・実施・評価すべての段階において、議会はそれらを監視し、団体意思の執行を《監督》する役割を持つ。
     議会は、市長が提案する計画、政策、施策、事業等について、政策等の水準の向上及び市民への公開のため、市長に対して、@政策等を必要とする背景、A提案に至るまでの経緯(検討した他の政策案・他の自治体の類似する政策との比較検討)、B市民参加の実施の有無及びその内容、C熊本市総合計画との整合性、D関係ある法令及び条例等、E財源措置、F将来にわたる効果及び費用等、政策等の決定過程を明らかにすることを求めるようになる。
(三)この条例は、「議会の権限と役割」を最大限に拡大・強化し、《各議員の能力》をも
最大限に発揮させるものとなる。
     この条例は、市長が提案する議案に意思表示をするだけの議会にとどまるのではなく、各議員の「政策立案能力」を高め、「議員提案事項」を増やし、議会・各委員会における「議員相互間の自由な討議」を保障することになる。
     各委員会において、論点を明確にし、事実と根拠に基づいて、議員間において自由闊達で十分な議論を行うことを求めることになる。議員間の議論の前提として、委員会は必要に応じて、議員協働の十分な「調査」を行うことが必要となる。委員会においては、自由討議により論点・争点を発見・整理・公開を行い、議論を尽くして合意形成に努めることが、合議制という議会の特性が生かされることとなる。この過程を通すことで、市民生活への十分な配慮した熊本市の団体意思が統一的に形成・決定されることとなる。
(四)この条例は、《質的に高い段階の議会運営と活動》を条例で保障し、「市民に分かり
やすい、透明性の高い議会」を求める条例である。
     「課題の掘り起こし」「政策立案」「施策の監視」という議会の機能を発揮するために市政及び議会運営における「市民との情報共有及び市民参画と協働」を保障する。議会が「住民と対話する場」を積極的に開き、「市民の提案・意見」を積極的に受け入れ、請願・陳情等は市民の「政策提案」として位置づけ、政策に反映していくことになる。
     委員会審議の過程で、請願・陳情の提案者の説明及び意見を聴く機会を設けるなど、市民に開かれた市民参画の議会運営などが求められるようになる。
(五)この条例は、憲法の「地方自治の本旨」である《自治体の意思決定過程への住民   参加》と改正地方自治法の求める「議会改革」を推進していくことを使命とする。地方分権と自治体の地方立法権(条例制定権)の強化・拡大により、議会の権限・役割・責任はますます重要になってきている。
      各議員も各会派も、これまでの熊本市議会の《慣例》という古い考え方、旧来の活動スタイルを変え、《新しい地方議会》の特性に基づいた熊本市議会を創造していくことが求められてくる。
  三 議会基本条例について意見を交わすことが「議会改革」につながる。
   (一)議会基本条例の制定は、これまでの議会改革とは、その内容と目的、性格において質的に異なっており、様々な議会改革を実現する戦略的な課題となる。
      議会基本条例の制定により、議会及び各議員の活動は質的に高いものとなり、議会・議員のあり方を新しい段階へと切り開かれることになる。「開かれた議会」と「開かれた行政」となり、真に独立した議会と行政の対等な関係が始まり、議会による地方公共団体の意思決定とその決定に基づく行政の執行が確かなものとなる。このことで議会への信頼感とさらなる期待が高まり、市民のための市政および施策が実現可能となる。
(二)自治基本条例の制定により、熊本市の市長・執行機関は、制度として「市民に開かれた行政」に歩みだした。しかしながら二元代表制の地方の柱である議会は、未だ「市民に開かれた議会」に向かっていない。早急に「開かれた議会」にかじを取るべきである。
(三)二〇〇九年九月九日議会へ提案された、くまもと未来作成 くまもと市議会「がまだす」条例(議会基本条例)は、九月十八日議会運営委員会に付託されたが、継続審議にすることなく、賛成少数で否決された。
   しかし、その際の討論においては、議会活性化検討会副委員長も交えて、議会運営委員会での議論・検討することについて前向きな意見が交わされた。
   その後も議会活性化検討会では、議会基本条例を制定した多くの議会の視察を行っている。また専門家の講演・助言・意見を聴き、「議会改革の背骨であり、中心課題である議会基本条例をぜひつくってほしい」と提案・助言も受けている。しかし「議会活性化検討会」では、委員の中で誰一人、議会基本条例の制定のための議題提案をしていない。何のための視察だったのか、疑問である。   
四 議会基本条例の審議については、全議員参画・提案および市民参画型で行っていくことの確認を求める。
  議会運営委員会で、各会派から、「全議員に関わることであるから改選後の議会において、議会基本条例の必要性について審議していく」という意見が出されました。また「議会基本条例というのは、議会の最高規範となるようなもの」「拙速に結論を出すべきものではない」「全会派、全議員の合意のもとに制定していくべき」「十分かつ慎重な検討が必要」「他都市のことなども踏まえながら、十分な検討が必要」などという意見が出されています。
また原口委員長は雑誌の取材に「議会基本条例は市政にとって重要なもの。それだけにじっくりと議論して仕上げないといけない」。(中略)「選挙後に新しい議会でしっかり、時間をかけて議論しようと委員会で合意していました」と答えています。
議会でしっかり審議していくためには、制定した他都市に学び、「熊本市議会に不足しているものは何か」「現在の市議会に求める役割・機能」などアンケートなどをとり、市民の声を聴くことから始め、さらに市民も参画できる市民と議会・全議員の共同で「議会基本条例」が制定されていくことを期待しています。
『日経グローカル三五〇号』(二〇十八年十月十五日発行)では、「地方議会が議会の活力向上へ向けて動き出した。本誌が全国八一五市区議会を対象に、従来の改革への取り組みに加え、住民の関心や議会の魅力度、制度の活用ぶりなどを尋ねた「議会活力度」調査によると、西脇市(兵庫県)をトップに、那覇市(沖縄県)、四日市市(三重県)がベストスリーとなった。(中略)「開かれた議会」の実現へ努力を重ねている。制度面では首長らの反問を過半数の議会が認める一方、執行部を交えない議員間の自由討議を常任委員会で実施した議会は二割弱にとどまった。議会基本条例の制定など改革の波は広がるが、実際の運用や住民の支持獲得に向けた模索が続いている。」と議会改革が注目されている。しかし、熊本市はランキングを見ても遅れていることが見えてきます。
各会派・各議員による「議会基本条例」の調査・研究・検討の取り組みが始まることを期待し、議会においても統一地方選挙後の六月議会を待つまでもなく、議会基本条例について意見交換および審議を始めることを求めます。

以上、請願いたします。

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