請願第2号 (平成25年) 公的医療を崩壊に導く、環太平洋連携協定(TPP)に参加しないことを求める請願
受理日:平成25年2月25日
付託委員会:福祉子ども
議決日:平成25年3月26日
議決結果:不採択
益田牧子
主 旨
日本の国民皆保険制度や国民生活を破壊する環太平洋連携協定(TPP)に参加しないことを求める国への意見書を採択すること。
理 由
安倍晋三首相は、二月二十三日のオバマ米大統領との首脳会談を受けて、「環太平洋連携協定(TPP)」交渉に参加する方向で調整に入ったと報道されています。発表されたTPPに関する共同声明では、全ての物品が交渉の対象にされること。関税や非関税障壁を撤廃するとした「TPPの輪郭(アウトライン)」を日本も達成していくことを確認しています。これは「聖域なき関税撤廃」を前提にしたものであり、決して関税撤廃の例外を確認したものではありません。
農林水産省の試算で八・四兆円もの国内農業関係分野への被害が予想されるTPPへの参加は、日本の農業を破壊し、食の安全と確保を脅かすものです。
また、この間の国会審議でも明らかなように、混合診療を拡大し、国民皆保険制度の崩壊につながる危険性など医療・介護など社会保障の分野にも重大な影響をもたらすものです。
TPPの下で混合診療が全面解禁されれば、米国の営利企業による病院経営が日本に導入され、過疎地の医療がおろそかにされるなどの弊害が予想されます。米国は、医療サービス分野の自由化や混合診療の解禁を求め続けています。さらに国際的にも誇るべき日本の公的医療保険制度が、自由な医療市場の拡大を阻害しているとして問題視され、米国の多国籍企業から協定違反として提訴される恐れも懸念されています。混合診療が解禁されれば患者の自己負担も上がり、また、「お金の有るなし」でいのちが左右される状況がうまれ、日本国民が長い歴史の中で育んできた国民皆保険制度そのものが崩壊していく危険性さえ指摘されています。
国民の暮らしが改善するどころかいっそう厳しさを増している状況のなかで、「病気になっても治療ができない」人たちが増えています。いま政治がすべきは、国民の医療や福祉など社会保障の充実です。
日本の経済主権を捨てて、食と農業をはじめ国民生活のあらゆる分野に深刻な打撃をあたえるTPP交渉への参加は、決して許されるものではありません。
貴議会におかれましては、以上の状況をふまえ、国に対して右記のとおり要請されますようお願い申し上げます。