請願第10号 (平成21年) 生活保護の「母子加算」復活を要求する国への意見書を求める請願
受理日:平成21年9月3日
付託委員会:保健福祉
議決日:平成21年9月18日
議決結果:不採択
益田牧子
主 旨
生活保護の「母子加算」を復活すること。
理 由
政府は、生活保護の母子加算を二〇〇九年(平成二十一年)四月から廃止されました。母子加算は一九四九年(昭和二十四年)に子育てを一人でする母親には追加的な栄養等が必要であることを理由に創設されたものです。仕事が急に残業となり近所の方に迎えにいってもらう、子供が熱を出しても仕事を休めずベビーシッターをお願いする、授業参観など三回に一回は参加したいと時間ぎりぎりまで仕事をしてタクシーでいくなど経済的負担とともに、父親の役割も果たしていくといった目に見えない精神的負担があります。一九八〇年(昭和五十五年)には「配偶者が欠けた状態にある者が児童を養育しなければならないことに対応して、通常以上の労働に伴う衣服費、片親がいないことにより精神的負担を持つ児童の健全な育成を図るための費用が余分に必要となる」(中央社会保障審議会生活保護専門分科会中間的とりまとめ)と確認されてきたものです。
二〇〇四年度までは、母子加算は二一六四〇円(二級地)で、十八歳に達した日以降の最初の三月三十一日までを養育するひとり親世帯に支給されていました。今回の廃止理由は「母子世帯の平均的な消費水準と比較しても生活保護の方が高い」というものであります。母子世帯の収入は一般世帯の収入の四割にも満たないものであり、母子世帯の生活安定のためそのことを抜きに、収入の低い方へあわせるという考え方は納得できるものではありません。
母子加算を廃止された母子家庭からは、「食事を削り、風呂の回数も減らした」「子供にいつも我慢させるのはつらい」「あらゆるものを節約、交際もほとんどできません」と声があがっています。
先の国会で、母子加算復活が参議院で可決され、今度の総選挙において母子加算の復活をかかげる政党が多数を占めるなど、復活の可能性は大きいものがあります。
一般新聞でも「最後のセーフティネットとされる生活保護の機能が失われるのではないかとの危機感が広がっている」と報じられています。
私たちは、こうした状況のもとで、生活保護制度をよりよい制度にしていくために、請願主旨の要望が実現されるよう、地方自治法九十九条の規定により、国の関係機関への意見書を提出していただくよう、請願するものです。