請願第3号 (平成18年) 介護保険条例改正についての請願
受理日:平成18年2月28日
付託委員会:保健福祉
議決日:平成18年3月24日
議決結果:不採択
益田牧子
主 旨
一 介護保険料所得段階をいっそう細分化し、低所得層と高所得層との所得に対する負担割合の均衡を図ること、また新第二段階の対象者要件を「収入一〇〇万円以下」とすること、をご検討下さい。
この段階規定は、利用料や施設入居者等の居住費・食費の「補足給付」などにただちに結びつく要件ですので、是非ご配慮頂きたいと存じます。
二 平成十六年および同十七年の両年度における税制改正のために課税対象者となった人に対する激変緩和措置を、平成十七年度分だけでなく同十六年分についても実施して下さい。また、この措置を経過措置とするのでなく、税制改正のために生まれた状況であることを踏まえ、保険料所得段階のいっそうの細分化と併せて段階規定のなかに取り入れて措置して下さるようご検討下さい。
三 介護保険の要介護認定者に対し「障害者控除認定書」をスムースに発行すること、また、このことを住民に周知徹底することを、行政に申しいれて下さい。
四 介護保険施設等の利用者に対する居住費・食費の保険外しによる負担の軽減のため利用者負担三段階までの人に市独自の補助金として、負担の半額でも支給されるようご検討下さい。
五 介護利用料の「補足給付」の制度のあることを、いっそう周知徹底すること、また施設利用者の所得段階を把握して「補足給付」が受けられない人がいないよう取りくむことを、行政に申しいれて下さい。
六 新予防給付によって、「必要な生活介護サービス」が受けられないことなどが絶対起こらないよう、行政に申しいれて下さい。
七 利用料の一割負担、居住費・食費の原則全額自己負担とともに「紙おむつ」が大きな負担となっています。なんらかの方法で費用援助ができるよう、ご検討下さい。
八 介護保険の給付費用の国庫負担二五%を早急に三〇%に引き上げることのために、全国地方六団体とともに鋭意ご努力されることを切望いたします。
理 由
介護保険条例の改正において、保険料所得段階を七段階に細分化して低所得層に配慮されたことは積極的な措置と歓迎します。ただし、新第二段階の対象者要件を収入一〇〇万円以下とし、さらに段階を細分化して、低所得層・中所得層・高所得層の、所得に応じた負担の均衡を図るべきではないでしょうか。そうすることによって、保険料基準額を少しでも抑えることができます。ちなみに、京都市では九段階に細分化することによって保険料基準額を一〇〇円低く抑えることができると試算しています。
税制改正により、年金受給者は収入額は減額しているのに、新たな課税対象者となっています。平成十七年度改正分については、政府は二年間の減額措置をとるとし、介護保険においても激変緩和措置をとるよう指導していると、聞きます。本市においてもこの措置は実施されると存じますが、平成十六年度改正に伴う新規課税対象者についても緩和措置が必要です。
国の税制がつぎつぎと改悪されるなか、低所得層にも課税対象者が多く生まれてくる状況に照らし、住民税非課税が低所得層救済の基準となっていたことを見直す時期に入っている、と考えます。介護保険における各種の低所得者救済措置の要件から「住民税非課税世帯」また「本人が住民税非課税」の項を削除すべきではないでしょうか。保険料所得段階の細分化と併せて、対象者要件を「本人の収入または所得の額のみ」で区分することを真剣に検討して頂きたいと考えます。
また、要介護認定者は所得税・住民税の障害者控除の対象となると聞いております。「障害者控除認定書」の発行をスムースに行うこと、この制度があることを要介護認定者に周知徹底して頂くことをおねがいします。
介護保険施設などの利用者の居住費・食費を保険給付から外したことは、とくに低所得層にとって過酷な措置となっています。「補足給付」があるとはいえ、本人収入が八〇万円以下の人が居住費・食費と利用料限度額を支払い、これに「紙おむつ」代が加われば、おやつ代もなくなります。国民年金満額で、月額六五、〇〇〇円です。しかし満額の受給者は少なく、平均四六、〇〇〇円が実態です。非課税世帯の家族の負担の重さは測り知れません。利用者負担段階一〜二の人の居住費・食費の、せめて半額でも、市の一般財源から補助する措置がとれないでしょうか。
介護保険制度が改正され、新予防給付・地域支援事業が始まると言われます。新予防給付の「介護予防訪問介護」では「必要な生活介護」などが受けられないのではないか、と不安の声を多く聞きます。要支援者にも「必要な生活介護」は欠かせません。
施設介護でも在宅介護でも「紙おむつ」は大きな負担になっています。施策の重要な課題として是非取り上げ、ご検討をお願いします。
最後に、介護保険制度は介護を良くしようとすれば住民の負担が増えるという仕組みになっている上に、国庫の負担を措置制度の半分の二五%(調整率含む)に引下げたために住民も施設も行政もみな苦しんでいるのではないでしょうか。国の負担を三〇%(調整率含む)に引き上げることによって、第三期事業計画の財源が第二期より一二〇%に増えたとしても一号被保険者の負担額は一九(第二期を一〇〇として)から一六・八に引下げられます。一号被保険者の負担を第二期と同じにすれば事業量を二・二増やすことができます。全国市長会、全国町村長会が早急に国庫負担を三〇%に引き上げることを政府に要請しておりますが、このことを全国地方六団体の統一要請事項として政府と折衝して頂きたい。本市議会においても、このことに鋭意ご努力されることを切望します。