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件名

意見書第9号 治水事業と生活再建支援の抜本的強化を求める意見書について

本会議議決結果

議決日:令和07年9月25日
議決結果:可決

内容

発議第9号

   治水事業と生活再建支援の抜本的強化を求める意見書について

 熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
 
  令和7年9月25日提出
       
熊本市議会議員  田中誠一
同        平江 透
同        坂田誠二
同        田中敦
同        小佐井賀瑞宜
同        荒川慎太郎
同        澤田昌作
同        北川 哉
同        浜田大介
同        三森至加
同        西岡誠也
同        村上 博
同        上田芳裕

熊本市議会議長 大石浩文 様

意  見  書 (案)

市民の安心・安全な暮らしを確保するため、治水事業と生活再建支援に関し、所要の施策を講じられるよう要望いたします。

(理 由)
近年の気候変動の影響により、我が国の災害は激甚化・頻発化しており、従来の治水計画の想定を超える記録的な豪雨が各地で発生するなど、国民の生命や財産、社会経済活動に深刻な影響を及ぼしています。特に、予測困難な線状降水帯がもたらす集中豪雨については、既存の治水対策では対応しきれない新たな脅威となり、河川の氾濫や内水氾濫による被害は深刻化しています。
熊本市においても、2025年8月10日深夜から11日未明にかけて発生した記録的豪雨により、短時間で400mm近い降雨を観測しました。この豪雨は、過去に球磨川で大規模な氾濫を引き起こした大雨に匹敵するものであり、市内各地で住宅の浸水や道路冠水など、人的・物的被害が短時間で急拡大し、市民生活に極めて深刻な被害をもたらしました。
今回の災害では特に、内水氾濫による被害が顕著であり、市街地及び住宅地における排水インフラの能力不足や、雨水の一時貯留を目的とした地下貯留施設の整備の遅れが課題として浮き彫りとなりました。また、報道によると、県内で1,600件を超える水没等による車両被害も発生しているなど、急激な増水に対する危険性の周知不足や、「車両避難」のリスク認識の低さも明らかになり、危機意識の醸成や啓発活動の強化も喫緊の課題となっています。
このような中、今後、被災された方々が速やかに生活再建を図り、災害からの復旧・復興を進めていくためには、激甚災害への早期指定をはじめ、より柔軟で即効性のある支援策が必要です。実際に、市民や事業者の方々からは、現行の利子補給制度などに加え、特に住宅・店舗・事業所などへの「災害見舞金的支援」の創設・強化を要望する声が数多く寄せられており、そのためには、国による全面的な財政支援等が必要不可欠です。
また、熊本市は、地理的・地質的に水害への脆弱性を抱えており、古くから幾度となく水害に見舞われてきた歴史があります。市民の生命と財産、都市機能を守るためには、河川改修のみならず、内水対策も含めた治水インフラの抜本的な整備・改修等、総合的な治水能力の向上が喫緊の課題です。
これらの治水事業や生活支援施策には多額の費用が必要ですが、地方自治体が単独で対応するには財源的な限界があります。国は、これまで防災・減災対策に積極的に取り組んでこられたものの、今後の激甚化する災害に適応し、頻発する災害に備えるためには、既存制度の抜本的な拡充が不可欠です。
よって、国及び政府におかれては、市民の安全・安心な暮らしを確保するため、下記の事項について早急に取り組まれるよう強く要望いたします。



1 激甚災害等の指定手続の迅速化及び全面的な財政支援を実施すること。
2 政令指定都市が管理する河川を含む治水事業に対して、更なる財政支援の強化に取り組むこと。
3 内水氾濫対策のための排水ポンプ、地下貯留施設等の整備、非常警報設備の自動発報化について、国土強靭化予算の対象とすること。
4 河川改修などが一気に進まない現状の中、都市型水害への即効的対策として、止水板や住宅嵩上げ工事への財政支援を実施すること。
5 被災した住宅・事業所等への「災害見舞金的支援」の制度化と拡充を図ること。
6 車両避難に対するリスク啓発を含む防災教育を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
  
令和  年  月  日

議   長   名

衆議院議長
   参議院議長
   内閣総理大臣
   総務大臣
   財務大臣
   防災担当大臣

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