意見書第18号 現行の健康保険証を残すことを求める意見書について
議決日:令和05年9月27日
議決結果:否決
発議第18号
現行の健康保険証を残すことを求める意見書について
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
令和5年9月27日提出
熊本市議会議員 西岡誠也
同 上田芳裕
同 上野美恵子
同 井芹栄次
熊本市議会議長 田中敦焉@様
意 見 書 (案)
健康保険証廃止を中止し、これまでどおり全国民が健康保険証を使用することができるよう要望いたします。
(理 由)
健康保険証と一体化したマイナンバーカードの利用を国民に強制するマイナンバー法等改正案が、令和5年6月2日の参議院本会議で可決、成立しました。
法案の可決後も、マイナンバーカードの誤交付や別人へのひもづけなどの誤登録、医療機関に設置されている資格認証機器のトラブルなど、重大問題が次々と噴出していますが、政府は2024年秋の健康保険証の廃止を撤回していません。
国会審議を通じて、障がい者や認知症の人、高齢者など、社会的弱者がマイナンバーカードの手続・取得・管理ができず、健康保険証を持てない人を制度的につくり出しかねない重大問題が明らかになりました。障がい者のマイナンバーカード取得をめぐっては、「申請した際に顔写真がうまく撮れない」、「自筆の署名ができずに窓口で断られた」などの事例が報告されています。
また、現在、多くの介護施設では、入所者の健康保険証を施設で預かっていますが、マイナンバーカードの代行申請は、本人の同意の確認が難しい上に、仮にマイナンバーカードの申請手続ができたとしても、施設側でマイナンバーカードと暗証番号を管理することは困難な状況です。
申請手続ができない人がいる中で、政府は具体的な対策を示せていません。健康保険証の廃止で、膨大な数の「保険証を持てない人」が生まれ、保険料を支払っても保険診療を受けられない人が続出し、国民皆保険制度の根幹を破壊する重大問題に発展しかねません。患者や利用者、医療・介護の現場も大混乱に陥ることは明白です。
保険証廃止に対して反対の世論が急速に拡大する中、新聞各紙も社説などで「保険証の廃止、見直しは今からでも遅くない」など、政府の強引なやり方を批判しています。共同通信社が行った世論調査では、保険証廃止の延期や撤回を求める声が72.1%に上ったと報道されています。
健康保険証の廃止によって、国民皆保険制度の下で守られてきた命と健康が脅かされると危惧しています。
よって、政府におかれては、健康保険証廃止を中止し、これまでどおり健康保険証を使用することができるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
令和 年 月 日
議 長 名
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
デジタル大臣