意見書第5号 高等教育無償化への取組を進めることを求める意見書について
議決日:令和05年3月15日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
令和5年3月15日提出
熊本市議会議員 西岡誠也
同 福永洋一
同 上野美恵子
同 那須 円
熊本市議会議長 原亨 様
意 見 書 (案)
日本社会の持続的な発展のため、誰もが安心して高等教育を受けられるよう、高等教育の無償化に向けた所要の施策を講じられるよう要望いたします。
(理 由)
コロナ禍の下で、アルバイトによる収入が減り、食費にも事欠く学生が多数います。さらに、急激な物価の高騰が追い打ちをかけています。そういった中で、異常に高い学費や貧弱な奨学金制度が、学生の学ぶ権利を奪っている現実が浮き彫りになっています。高等教育修学支援制度は、要件が厳しく支給を受けている学生は1割以下で、「高等教育無償化」とは程遠い現状です。日本だけの制度である入学金の存在もまた、進学の足かせになっています。
高等教育は、市民、取り分け若者の知的探求の自由、知る権利、職業選択の自由を含めた、学び成長する権利を満たすための社会の営みです。今や大学への進学率は5割を超え、専門学校を含む高等教育機関への進学率も8割に達しています。日本社会の持続的な発展のためにも、誰もが高等教育を受けられるための条件整備が必要です。
2012年に、国際人権規約が定めた高等教育の段階的無償化条項に係る留保が撤回され、日本は国際的にも高等教育無償化を約束することとなりました。大学への予算配分を増やして、入学金制度を廃止し、学費無償化を図ることが必要です。あわせて、若者の社会へのスタートに多額の借金を背負わせる現在の「奨学金」制度を見直し、必要とする若者が給付型奨学金を受けられるようにすることや、全ての奨学金の無利子化、返還困難者への減免制度創設も必要です。
日本はGDPが世界3位でありながら高等教育に係る予算は極めて僅少で、高等教育機関への公的支出は、GDP比で僅か0.4%で、OECD加盟国で比較可能な37か国中36位と最低水準です。その一方で、私費負担は0.9%で、OECD加盟国の平均値である0.4%の倍以上です。
よって、政府におかれては、公的負担を拡充し、誰もが安心して高等教育を受けられるよう、高等教育無償化に向け、下記の事項について実施されるよう強く要望いたします。
記
1 高等教育無償化を目指すこと。
2 日本だけの制度である「入学金」を廃止すること。
3 返還の不要な給付型奨学金を抜本的に拡充し、全ての奨学金を無利子にすること。また、返還困難な場合の減免制度をつくること。
4 新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響を受ける学生への支援給付金を引き続き支給すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
令和 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
文部科学大臣
こども政策担当大臣