意見書第9号 消費税インボイス制度の中止を求める意見書について
議決日:令和04年3月24日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
令和4年3月24日提出
熊本市議会議員 西岡誠也
同 福永洋一
同 上野美恵子
同 那須 円
熊本市議会議長 原口亮志 様
意 見 書 (案)
地域経済・地域社会を支える小規模・零細事業者を守るため、「インボイス制度」導入を中止されるよう要望いたします。
(理 由)
2019年10月から消費税率が10%へ引き上げられ、併せて2023年10月から消費税の仕入税額控除の方式として「インボイス制度」導入も決められました。昨年10月から、インボイスを発行するための事業者登録も始められ、導入準備が進んでいます。
インボイス制度が導入されれば、これまで消費税を納税する必要のなかった小規模・零細事業者に新たな税負担が発生し、大きな影響が生じます。国勢調査や法人企業統計調査などのデータによれば、個人・法人の事業者数は約800万者で、そのうち消費税課税業者が315万者で、残り約480万者が免税事業者と見られていますが、財務省はそのうち161万者が課税業者になると試算しています。しかし、実際にはこれに農家や個人タクシー、大工の一人親方など、様々な業種の人が加わり、さらには国勢調査で自営業者に分類されない「フリーランス」、接待を伴う飲食店従業員や芸能関係者、配達員、電気・ガスの検針員など、雇用契約のない非正規労働者のような勤労形態の人が加わります。そして、全国に70万人と言われるシルバー人材センターの会員も課税対象となります。このように、インボイス制度導入の影響は、広く多くの国民に及び、1,000万人前後の人が新たに課税対象となる可能性があります。売上げ1,000万円どころか、シルバー人材センター会員のように全国平均で年間40万円程度の収入しかない零細事業者からも消費税を取り立てるのが「インボイス制度」です。
2019年10月からの消費税10%への増税によって冷え込んだ消費に、新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少が更に加わりました。コロナ禍と消費税増税が二重の打撃となって、事業者の経営を圧迫しています。現在、新型コロナウイルス感染症はオミクロン株の感染爆発により、収束の見通しはますます不透明になっています。コロナ危機から回復できないままにインボイス制度の導入を迎え、小規模・零細事業者の負担が増えれば、倒産・廃業に追い込まれる事業者が格段に増えることは間違いありません。それは、コロナ禍からの日本経済の回復をますます困難にします。
さらには、今でさえ急速に減少しつつある小規模・零細事業者に決定的な打撃となり、事業者の減少に拍車がかかります。日本経済の裾野を支え、地域経済・地域社会の支えとなってきた小規模・零細事業者の減少は、地域社会の衰退へもつながっていきます。
今必要なことは、コロナ禍に苦しんでいる事業者の事業継続を最大限に応援し、アフターコロナに地域社会と日本経済を速やかに回復へと向かわせる国の支援です。それに逆行する「インボイス制度」導入は絶対にすべきではありません。
よって、政府におかれては、2023年からのインボイス制度実施を中止されるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
令和 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
財務大臣
経済産業大臣