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件名

意見書第21号 知的障がい者が安心して暮らせる入所施設の充実を求める意見書について

本会議議決結果

議決日:令和02年9月29日
議決結果:可決

内容

熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
 
  令和2年9月29日提出
       
熊本市議会議員  原口亮志
同        津田征士郎
同        澤田昌作
同        田中敦
同        光永邦保
同        坂田誠二
同        三島良之
同        原亨
同        小佐井賀瑞宜
同        井本正広
同        藤永 弘

熊本市議会議長 紫垣正仁 様

意  見  書 (案)

知的障がい者が安心して暮らせる入所施設の充実を図るため、所要の施策を講じられるよう要望いたします。

(理 由)
知的障がい者は、障害の状況を問わず、生涯を通じた24時間切れ目のない支援と見守りがなければ、一人では生きづらい特性を多かれ少なかれ持っています。
障害者総合支援法による施設の事業形態では昼夜分離となり、利用者にとって生活支援を最も必要とする朝夕の時間帯を含む施設入所支援の報酬単価が、主な日中活動の場である生活介護の3分の1になっています。このような実態にそぐわない不合理な制度は、支援の質及び量の低下をもたらすばかりでなく、施設利用者の人権を損なうことにもなります。
昼夜の一体的運営をする障がい者支援施設において、昼の生活介護等の職員配置をもって夜間の支援を合わせて行うのではなく、昼夜を通じて適切な支援が可能な職員配置を行うべきです。また、グループホームについても、同様の措置が必要です。
また、入所施設こそ、それを必要とする知的障がい者にとっては、生涯を通じた「家庭(終の住処)」として、地域福祉の拠点と位置付け活用すべき社会資源です。その意味において、入所施設を知的障がい者がより豊かな生活が享受できるものにするとともに、グループホームについても、同様の立場に立って充実すべきです。
加えて、知的障がい者は長期施設入所を余儀なくされているのではなく、その障害の実態から長期の利用を必要としています。さらに、支援の不足によって、長期の在宅を余儀なくされている実態にも目を向けるべきです。
また、障害支援区分を事業者への報酬に結び付け、更に障害福祉サービスの制限等を行うことより、知的障がい者の暮らし方まで制限していることには大きな問題があります。障害支援区分で障害福祉サービスの質と量を決めるのではなく、一人一人の特性に合った必要な支援が受けられる仕組みに変えるべきです。
障害福祉サービスの日額制は、利用者がその日によって日中活動の場を選べる利点があると言われています。しかしながら、結果的には事業者の不安定な経営状態を招き、支援の質・量の低下につながっています。したがって、人件費・一般管理費など事業経営上恒常的に必要とする報酬については、月額制とし、安定した支援が受けられるようにすべきです。
また、多くの知的障がい者には契約能力がないと判断されているにもかかわらず、支援費制度以降、障害福祉サービスの利用契約が知的障がい者と事業者間で行われているところです。
このような仕組みの下では、国等行政機関の公的責任が明確ではないばかりでなく、むしろその後退が進む懸念を持っています。したがって、障害福祉サービスの利用については当事者(障がい者本人及びその家族)の意思決定が尊重されるよう、国等行政機関が責任をもって取り組むべきです。
よって、政府におかれては、下記事項について措置されるよう強く要望いたします。



1 知的障がい者が生涯を通じ、24時間切れ目のない、安心して快適に暮らせる入所施設、グループホームを充実すること。
2 現行の障害支援区分を廃止し、支援の必要に応じた仕組みとすること。
3 安心して継続的な支援が受けられる職員体制にすること。
4 国等行政機関は、責任をもって知的障がい者への障害福祉サービスを提供すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
  
令和  年  月  日

議長名

内閣総理大臣
厚生労働大臣

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