意見書第24号 ひとり親家庭における子どもの養育に関する法制度の充実と財政支援を求める意見書について
議決日:令和元年12月18日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
令和元年12月18日提出
熊本市議会議員 西岡誠也
同 村上 博
同 上田芳裕
同 田上辰也
同 福永洋一
同 山内勝志
同 吉村健治
同 島津哲也
熊本市議会議長 倉重 徹 様
意 見 書 (案)
ひとり親家庭の養育費に関する法整備を早期に進めるとともに、養育費確保対策を実施する自治体に対する財政支援を充実されるよう要望いたします。
(理 由)
厚生労働省によれば、日本の子どもの貧困率は13.9%(2015年)で、17歳以下の子どもの約7人に1人が経済的に困難な状況にあります。世界的に見ても日本の子どもの貧困率は高いという現実を前に、2013年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立しました。また、厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」(2016年度)によると、養育費を「現在も受けている」と答えているのは母子家庭で24.3%、父子家庭で3.2%となっており、大多数のひとり親家庭では養育費が確保できていない状況にあります。子どもの貧困の放置は、子どもたちの将来が閉ざされてしまうだけでなく、社会的損失につながります。
諸外国では、行政が主体となり養育費を確保する支援を実施しています。例えば、アメリカやイギリスでは養育費を支払わない非同居親に対して、行政による給料からの天引きなどの徴収が行われるほか、運転免許の停止(米)や最長6週間の収監(英)等が定められています。ほかにもスウェーデン、ドイツ及びフランスでは、養育費が支払われていない場合は、国による立替払いが行われ、非同居親に対して請求及び徴収をしています。
先進7カ国(G7)の中で、日本を除く国は離婚後も共同親権制度を堅持しています。離婚後も両親が愛情をもって子どもの成長、発育に関わることが子どもの利益となり、二人の親を持つという子どもの権利を守るものとして、各国は共同親権制度を採用しているところです。一方、日本では離婚後は単独親権制度を採用しており民法第819条で規定しています。養育費が支払われなかった場合、ひとり親が裁判などを起こしながら自分で取り立てることは容易ではありません。また、厳しい子育て環境にある中、自治体などの相談窓口を利用するのも労働時間の制約など容易ではなく、迅速な対応をするにも厳しい現実があります。日本の法制度が子どもの貧困をもたらしていると言っても過言ではありません。
兵庫県明石市では「明石市養育費立替パイロット事業」を試験的に行っています。この事業は、市が業務委託した保証会社が養育費を受け取れていないひとり親家庭に対し養育費の不払い分を立て替えて支払い、別居親に対し立替分を督促して回収する事業で、ひとり親家庭と保証会社との間で養育費保証契約を結び、市は初回の年間保証料(上限5万円)を負担しています。
よって、政府におかれては、親の離婚後においても子どもの養育にしっかりと親が関わり、子どもにとっての最善の利益、最善の福祉、最善の教育が保障されるよう、早期の法整備を進めるとともに、養育費確保対策を実施する自治体に対する財政支援の充実を強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
令和 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
厚生労働大臣