意見書第3号 保育士の確保を求める意見書について
議決日:平成31年3月8日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成31年3月8日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 くつき信哉 様
意 見 書 (案)
深刻な待機児童問題の解消を可能にする保育士の確保のため、保育士の配置基準及び処遇を改善されるよう要望いたします。
(理 由)
保育所の待機児童の増加が社会問題になって20年近くたとうとしています。政府は、「待機児童ゼロ作戦」「子ども・子育て応援プラン」などを掲げてきましたが、待機児童の解消どころか、ますます深刻な事態になっています。待機児童の抜本的解消のための認可保育所の増設を進めるためにも、それを可能にする保育士確保が必要であり、そのための保育士の待遇の抜本的改善は不可欠です。政府は、資格要件の緩和やICT化の支援などに取り組んできましたが、根本的な配置基準の改善や保育士全体の賃金の底上げが図られないために、問題の解決には至っていません。
都市部でも地方都市でも保育士不足が深刻です。離職者も後を絶たず、特に民間の離職率は8.55%と高いものになっています。東京都の調査では、現在就労している保育士で退職意向がある人が約2割で、その理由は「給料が安い」、「仕事量が多い」、「労働時間が長い」などです。これらを解決しなければ、保育士不足を解消することはできません。
保育士の賃金(残業代を除く所定内給与額)は、全労働者の平均より約9万円低くなっています。国も、この間若干の処遇改善に取り組んできましたが、まだまだ限定的で、全産業労働者との差は解消されていません。保育士の賃金を全産業平均に近づくように引き上げていくことや、賃金引き上げの対象を、栄養士など保育園で働く全ての職員とするなど、保育現場全体の賃金の底上げを図っていくことが必要です。
また、現在の保育士配置基準は諸外国と比べても際立って遅れており、子供の健全な発達、行き届いた保育を保障するものとはなっていません。保育士の過重負担、長時間労働の負担を軽減し、働き続けられるようにするためにも、保育士の配置基準の引き上げを行い、保育士を増やすことが必要です。
保育現場では、非正規の保育士が全体の42%を占めており、保育現場は非正規の保育士抜きでは成り立たない状況になっています。非正規の保育士の仕事が、正規の保育士と同じになっていることも少なくありません。それにもかかわらず、非正規保育士の賃金は依然として低く、正規保育士の4〜5割です。非正規の保育士の正規化を進めるとともに、正規と非正規の均等待遇の実現も求められる課題です。
よって、政府におかれては、不足している保育士確保のために、配置基準の改善や保育士始め保育現場で働く人の抜本的処遇改善を強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
厚生労働大臣
少子化対策担当大臣