意見書第27号 水道民営化を押し進める水道法改正案の成立に反対する意見書について
議決日:平成30年9月28日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成30年9月28日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 くつき信哉 様
意 見 書 (案)
全ての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営む権利を保障するため、水道法の一部改正案を廃案とし、所要の施策を講じられるよう要望いたします。
(理 由)
政府は、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定できる仕組み(コンセッション方式)を導入する水道法の一部を改正する法律案を提出し、成立を目指しています。コンセッション方式とは、PFIの一類型で、利用料金の徴収を行う公共施設について、自治体がその所有権を有したまま、運営権を民間事業者に設定するやり方で、水道事業の民営化を押し進めるものです。
コンセッション方式の導入は、住民の福祉とはかけ離れた施策です。災害発生時などの応急体制や他の自治体への応援体制の構築などが民間事業者に可能か、更新事業や事業運営をモニタリングする人材や技術者をどう確保するのか、など重大な懸念があります。また、必ずしも老朽管の更新や耐震化対策を推進する方策とならず、水道法の目的である公共の福祉を脅かす事態となりかねません。
麻生副総理は2013年4月、米シンクタンクでの講演で「日本の水道は全て民営化する」と発言し、政府は水道事業の民営化に邁進してきました。ところが、水道が民営化されたフィリピン・マニラ市は水道料金が4〜5倍に跳ね上がり、ボリビア・コチャバンバ市では雨水まで有料化され暴動が起きました。フランス・パリ市では料金高騰に加え不透明な赤字経営が問題となるなど、世界の多くの自治体で再公営化が相次いでいます。
水は、市民の生活や経済活動を支える重要なライフラインです。国民の生命と生活に欠かせない水道事業は民営化になじまず、全ての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営む権利を破壊しかねません。
よって、国及び政府におかれては、安心・安全の水道事業を守るため、下記の事項について誠実に対応されるよう強く要望いたします。
記
1 水道事業にコンセッション方式の導入を促す水道法の一部改正案は、廃案にすること。
2 将来にわたって持続可能な水道を構築し、水道の基盤強化を進めるため、必要な支援の充実、強化、財源措置を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣