意見書第26号 主要農作物種子法の復活を求める意見書について
議決日:平成30年9月28日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成30年9月28日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 くつき信哉 様
意 見 書 (案)
安価で良質な種子の供給体制の保全により食の安全を守るため、所要の施策を講じられるよう要望いたします。
(理 由)
稲・麦・大豆の優良な種子の生産・普及を各都道府県に義務付ける「主要農作物種子法」は、1952年の制定以来、都道府県が開発した優良な種を「奨励品種」と定め生産者に提供することで、国民への安定的な食料供給はもちろん過度な民間参入や知見流出を防ぐ大きな役割を果たしてきました。
しかし、政府は、「民間の参入を妨げている」、「民間の品種開発意欲を阻害している」などとして、十分な資料や説明もないまま、昨年の通常国会に同法を廃止する法案を提出し成立、今年4月1日に廃止されました。同法は、都道府県における種子生産の根拠になってきたことから、中長期的な予算確保が困難となり、安価で良質な種子の安定供給が後退しかねません。農林水産省は、種子供給に必要な地方交付税は今後も確保するとするものの、法の後ろ盾が無くなる以上、将来に向けて供給体制が守られる保証はありません。
また、政府は、同じく昨年の通常国会で成立した「農業競争力強化支援法」を根拠に、都道府県が持つ種子生産の知見を民間企業に積極提供する方針を示しています。民間企業に種子開発が独占され、品種の淘汰・単一化、種子価格の高騰、生産者が特許料の支払を強いられる事態、海外の種苗大手への知見流出などの懸念も拭えません。また、外資メーカーの参入により、遺伝子組み換え品種が生み出されるなど、食の安心・安全が脅かされることが危惧され、消費者にとっても影響が大きいです。
気候や土質の違いなどの環境は、地域ごとに異なり、公立研究機関がそれぞれの地域に見合った品種を開発し安定供給を支えてきた主要農作物種子法の役割は、現在でも全く失われていません。食の根幹である種子の生産や供給体制が揺らぐことは、あってはなりません。
よって、国及び政府におかれては、食料主権の観点から日本の種子を保全するため、下記事項を実現されるよう強く要望いたします。
記
1 食料主権と食の安全を守り、公共財としての多様な日本の種子を保全するために、「主要農作物種子法」の復活又は同法の趣旨を盛り込んだ新たな立法を行うこと。
2 参議院農林水産委員会の附帯決議に基づき、「都道府県での財源確保」「種子の国外流失禁止」「種子独占の弊害の防止」などに万全を期すこと。
3 都道府県などが有する種苗生産の知見について、民間企業への提供促進を規定した「農業競争力強化支援法第8条第4号」を削除すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣