意見書第17号 環太平洋連携協定(TPP11)関連法案の廃案を求める意見書について
議決日:平成30年6月19日
議決結果:否決
環太平洋連携協定(TPP11)関連法案の廃案を求める意見書について
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成30年6月19日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 くつき信哉 様
意 見 書 (案)
多国籍企業の横暴から国民の命と暮らしを守るため、環太平洋連携協定関連法案を廃案とされるよう要望いたします。
(理 由)
米国を除く11カ国が署名した環太平洋連携協定(TPP11)関連法案の採決が5月24日の衆院本会議で行われ、自民党、公明党、日本維新の会の賛成で可決されました。
外務委員会における審議時間は、わずか6時間に満たず、食の安全、国民の命と暮らしを脅かす危険、投資家の利益を優先させるISDS(投資家対国家紛争解決)条項、国内の農林水産業や雇用に対する影響など、本協定が抱える重大な問題について、いまだ審議は尽くされていません。
もともとTPPは、2年前の国会で、圧倒的な国民の厳しい批判にさらされ、国会審議の最中にアメリカが離脱したにもかかわらず、与党が採決を強行したものです。その後、政府は米国に対し、盛んにTPPへの復帰を働きかけてきました。TPPを丸ごと組み込むとしているTPP11は、国会決議に真っ向から反するものと言わざるを得ません。
国会決議は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の重要5項目を関税撤廃の交渉から「除外する」ことを明確にしてきました。にもかかわらずTPPでは、重要5項目のうち3割の品目で関税を撤廃、牛肉・豚肉では7割の品目で関税が撤廃されます。こうした国会決議違反の内容に対して、TPP11では凍結要求することさえ一切行われていません。
そもそもTPPの本質的な問題は、自由貿易をとるか保護主義をとるかというものではなく、多国籍企業の横暴から各国の国民の命と暮らしをどう守るかということに集約されます。米国を除く11カ国の枠組みとなったものの、関税を撤廃し、食品の安全基準を低めるなどの規制緩和を行うという本質はそのまま維持されています。
4月の日米首脳会談で、日米の新たな経済協議の枠組みをつくることで合意が交わされましたが、TPP交渉で譲歩した線をスタートとして、日米FTA(自由貿易協定)交渉で際限のない譲歩を迫られ、「米国第一」を掲げるトランプ政権の対日要求の「受け皿」とされる危険は明らかです。
今求められているのは、各国の食料主権、経済主権を尊重した、平等・互恵の経済関係を発展させる道に進むことです。
よって、政府におかれては、環太平洋連携協定(TPP11)関連法案については、速やかに廃案とされるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
外務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣