意見書第8号 憲法改正の発議をしないことを求める意見書について
議決日:平成30年3月26日
議決結果:否決
憲法改正の発議をしないことを求める意見書について
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成30年3月26日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 澤田昌作 様
意 見 書 (案)
自衛隊の存在を明文化する改憲構想に反対し、憲法改正の発議をされないよう要望いたします。
(理 由)
安倍首相は、日本国憲法が施行70周年を迎えた昨年5月、2020年までに、憲法第9条第1項及び第2項を残したまま、新たに自衛隊の存在を明記する明文改憲を実現するとの考えを公表しました。
首相には、憲法を擁護し遵守する義務があります。また、憲法改正の発議権は国会にあり、首相には一切の権限がありません。これは、内閣総理大臣に課せられた憲法の尊重義務を投げ捨て、行政府が立法府に不当に介入し、「三権分立」を否定するという憲法違反の発言です。また、オリンピック・パラリンピックの開催を改憲の口実にすることは、オリンピック憲章が禁じたスポーツの政治利用であり許されません。報道各社の世論調査でも「安倍政権での憲法改正」については否定的なものが多数となっています。
自由民主党は、これまで一貫して、戦力の保持を禁止した憲法第9条第2項を削除し、国防軍の保持を明記することで、海外での制約のない武力行使を公然と認める改憲草案を掲げてきました。
この草案では、各議院の総議員の3分の2以上による発議は難しく、まして国民投票で過半数の賛成を得ることは困難であると見込まれることから、単に、現在の自衛隊を憲法で認めるだけかのような改憲を行うとしたことが安倍首相の狙いです。しかし、安倍首相が新たに明記しようとしている自衛隊とは、これまで憲法上認められないとされてきた集団的自衛権を行使可能とし、世界中で武力紛争に関与することができる自衛隊にほかなりません。
また、法律には後から付け加えられた条文が古い条文より優先するという原則があり、まさにこの改憲により憲法第9条第1項、第2項を死文化させることになります。日本の世界に誇るべき財産である戦争放棄の誓いを実質的に破り、国際的な信頼を失うことは明白です。
よって、国会におかれては、自衛隊の存在を憲法第9条に追加して明文化するという改憲構想に反対し、憲法改正の発議をされないよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
衆議院議長
参議院議長