意見書第6号 拙速な「TPP11」の承認に反対する意見書について
議決日:平成30年3月26日
議決結果:否決
拙速な「TPP11」の承認に反対する意見書について
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成30年3月26日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 澤田昌作 様
意 見 書 (案)
「TPP11」に関するあらゆる情報を開示し、国会での十分な検証及び徹底した審議が行われるよう要望いたします。
(理 由)
米国を除くTPP(環太平洋経済連携協定)参加11カ国は、1月23日の首席交渉官会合で協定内容を確定させ、3月8日には南米チリで署名式が行われました。政府は今後、「TPP11」(包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定)の承認案と関連法案を今通常国会に提出する方針とされています。
関税に関する合意内容は「TPP11」でも変更されず、畜産・酪農業をはじめ日本の農業に大きな犠牲を強いる懸念が拭えません。中でも米国の参加を前提に設定された乳製品の低関税輸入枠や牛肉のセーフガード(緊急輸入制限措置)がそのまま維持されたことで、歯止めなき輸入拡大につながりかねません。また、今回の合意には、米国のTPP復帰が見込めなくなった場合に再協議できるとの新たな規定が含まれ、政府はこれが農業分野の合意見直しの担保と説明しますが、各国が実際に日本の要求を受け入れる保証はありません。
しかも、政府は合意に至った交渉経過を全く情報公開していません。昨年末に示した「TPP11」及び日本とEU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定)による影響試算についても、農産物への試算には過小評価との疑問が残り、安価な輸入品との競争にさらされることになる国内農業者は不安を抱えています。地域経済や国民生活への影響も心配されます。トランプ米大統領が将来のTPPへの復帰に言及する中、日本が「TPP11」を安易に承認すれば農産物などで米国が再交渉を強力に求めてくる懸念もあります。
よって、国及び政府におかれては、下記の事項について実現されるよう強く要望いたします。
記
1 政府は、「TPP11」参加各国との詳細な交渉経過や都道府県別の影響試算など、あらゆる情報を早急に開示すること。
2 国会は、国民や生産者の不安や懸念に応えるべく、「TPP11」について十分な検証及び徹底した審議を行うとともに、批准の可否について慎重に判断し、拙速かつ安易な「TPP11」の承認は行わないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣
経済再生担当大臣