意見書第25号 慎重な憲法論議を求める意見書について
議決日:平成29年12月12日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成29年12月12日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 澤田昌作 様
意 見 書 (案)
憲法の本質を踏まえ、拙速な審議によって憲法改正を発議されることのないよう要望いたします。
(理 由)
10月の総選挙の結果、憲法改正を主張する会派の議員が衆参それぞれの3分の2を超えたこともあって、憲法をめぐる議論が活発になっています。また、自民党総裁である安倍晋三首相は、今年5月の憲法記念日に「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と言明し、期限を切って自民党案を国会に提出する考えを示しており、総選挙で与党が勝利したことを受けて改憲の動きを更に加速させることが想定されます。
一方、多くの世論調査で憲法改正を求める意見は減少傾向にあり、「安倍政権での憲法改正」については否定的なものが多数となっています。憲法改正が国民的要求となっているという状況とは到底言えません。
言うまでもなく憲法制定権力は国民にあり、憲法改正の発議が立法府の特別多数に委ねられているのは憲法改正手続の一部に過ぎません。このことは、最終的な憲法改正の是非が国民投票の結果によって決することからも明らかです。
さらに、国家権力の恣意的運用を排するための権力制限規範としての役割が憲法の本質であることを踏まえれば、「国権の最高機関」として厳格な憲法尊重擁護義務を負う国会には慎重な憲法論議が求められ、拙速な審議によって憲法改正を発議することが許されないのは当然であります。
よって、国会におかれては、下記の事項について誠実に対応されるよう強く要望いたします。
記
1 衆参の憲法審査会は、憲法及び憲法に関連する事項について広範かつ総合的に調査を行い、憲法の基本理念を生かし、その実現に努めること。
2 衆参の憲法審査会は、憲法問題についての各界各層の多様な意見を踏まえ、厳に慎重に論議し、拙速な憲法改正の発議を行わないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
衆議院議長
参議院議長