意見書第22号 ウイルス性肝炎患者に対する医療費助成の拡充及びC型肝炎患者の救済の延長を求める意見書について
議決日:平成29年12月12日
議決結果:可決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成29年12月12日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 家入安弘
同 田辺正信
同 村上 博
同 上田芳裕
同 田上辰也
同 福永洋一
同 西岡誠也
同 大塚信弥
熊本市議会議長 澤田昌作 様
意 見 書 (案)
肝炎患者に対する支援を一層充実させるとともに、一人でも多くの患者を救済されるよう要望いたします。
(理 由)
肝炎対策基本法等でも確認されているように、我が国において、ウイルス性肝炎、特にB型・C型肝炎の患者が合計350万人以上とされるほど蔓延しているのは、国の責めに帰すべき事由によるものであります。
現在、ウイルス性肝炎患者に対する医療費助成は、肝炎治療特別促進事業として実施されています。しかし、対象となる医療が、B型・C型肝炎ウイルスの減少を目的とした抗ウイルス療法であるインターフェロン治療とB型肝炎の核酸アナログ製剤治療に限定されているため、医療費助成の対象から外れる患者が相当数に上っています。特に、肝硬変・肝がん患者は、高額の医療費を負担せざるを得ないだけでなく、就労不能の方も多く、生活に困難を来しています。
また、肝硬変を中心とする肝疾患は、身体障害者福祉法上の障害認定(障害者手帳)の対象とされてはいるものの、医学上の認定基準が極めて厳しいため、亡くなる直前でなければ認定されないなど、現在の制度は、肝炎患者に対する生活支援の実効性を発揮していません。
肝硬変・肝がん患者は、毎日120人以上の方が亡くなっており、医療費助成を含む生活支援の実現は、一刻の猶予もない課題であります。2011年に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が制定された際、「とりわけ肝硬変及び肝がんの患者に対する医療費助成を含む支援の在り方について検討を進めること」との附帯決議がなされています。ようやく今回、2018年度厚生労働省予算の概算要求に、肝がん治療に対する医療費助成が盛り込まれました。肝硬変の治療が対象となっていないなどの課題も残されていますが、新たな医療費助成制度の予算化を確実にしつつ、肝硬変・肝がん患者に対する医療費助成を含む生活支援について、一層の充実を目指す必要があります。
また、血液製剤が原因でC型肝炎になったC型肝炎感染患者を対象にした「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第\因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」に基づく給付金の請求期限が2018年1月15日に迫っています。汚染された血液製剤は29万人以上に使われ、うち1万人以上が感染したとされるのに、これまでに救済を受けたのは約2,300人と、感染推計者数の2割強にとどまります。被害者を探すカルテ調査は今も続いており、現在もなお救済されていない被害者が多く残されています。また、自分が感染者だと知らないまま肝がんや肝硬変など重症化している人も多いです。
よって、政府におかれては、下記の事項を実現されるよう強く要望いたします。
記
1 ウイルス性肝硬変に係る医療費助成制度を創設すること。
2 身体障害者福祉法上の肝機能障害による身体障害者手帳の認定基準を緩和し、患者の実態に応じた認定制度にすること。
3 一人でも多くの患者を救済するため、「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第\因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」を改正し、請求期限を延長すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
厚生労働大臣