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件名

意見書第13号 「共謀罪」創設と同趣旨の「改正組織犯罪処罰法」の廃止を求める意見書について

本会議議決結果

議決日:平成29年6月23日
議決結果:否決

内容

「共謀罪」創設と同趣旨の「改正組織犯罪処罰法」の廃止を求める意見書について

熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
 
  平成29年6月23日提出
       
熊本市議会議員  田尻将博
同        上田芳裕
同        西岡誠也
同        上野美恵子

熊本市議会議長 澤田昌作 様

                      意  見  書 (案)

人権侵害等をもたらしかねない「テロ等組織犯罪準備罪」新設が盛り込まれた「改正組織犯罪処罰法」を廃止されるよう要望いたします。

(理 由)
 安倍政権は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策を口実に、国民の強い反対で過去3度廃案となった「共謀罪」創設と同趣旨の法案について、衆議院で強行採決したばかりか、6月15日には参議院法務委員会での審議・採決を省略し、参議院本会議において強行採決しました。
 安倍政権は、名称を「テロ等組織犯罪準備罪」と改め、適用対象や構成要件などを変更し、対象犯罪数を減らしたと説明していましたが、対象となる「組織的犯罪集団」の定義は曖昧で拡大解釈が可能な上、それに当たるかどうかは捜査当局の判断に委ねられます。構成要件に「準備行為」を加える点に関しても、その具体的な内容は不明確で、例えば本当の目的は生活費だったとしても銀行でお金を引き出す行為の目的を捜査当局が「テロの資金調達のため」とみなせば、準備行為の容疑として成立してしまう恐れがあります。277の適用対象犯罪には、文化財保護法や著作権法、廃棄物処理法、競馬法、森林法などテロとの関わりが明確でないものも数多く含まれ、濫用されれば思想の抑圧、人権侵害や市民監視の強化、運動への萎縮効果をもたらしかねない危険性は何ら変わりません。
 さらに、「共謀罪」の摘発を名目とする監視や会話の通信傍受など、極めて広範囲にわたって捜査権限が濫用される恐れがあります。
日本は、国連の主要な13本のテロ防止関連条約を締結しており、それに対応して整備した国内法や現行の刑法で十分に対応可能で、国際的な要請として「共謀罪」が本当に必要か大いに疑問であります。
 「共謀罪」は謀議に加わるだけで処罰できる、すなわち個人の内心や思想そのものを処罰対象にしようとするもので、実際の行為や結果が生じなければ罪には問われない現行刑法の基本原則に反します。100人を超す刑法研究者が法案反対声明を出すなど批判は広がっていました。
 さらに、法案審議に当たっては、金田勝年法相が法案提出後まで具体的な国会議論を避けるよう求める文書を作らせ報道機関に配布し、国会議員の質問権を侵害しようとしたことや、委員会の開会ごとに全会一致で決めるのが慣例の「政府参考人」の出席を常時可能とするよう衆議院法務委員長の職権で多数決で強行議決したばかりか、衆議院において強行採決、参議院では法務委員会での審議・採決を省略し、採決の場全てにおいて強行採決するなど、極めて強引な国会運営が重ねられました。このことは国会における議会制民主主義を否定するものであり、看過することはできません。
 よって、政府におかれては、国民の人権を擁護し、憲法の保障する思想、信条、表現の自由を損ねかねない「改正組織犯罪処罰法」を廃止されるよう強く要望いたします。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成  年  月  日

議長名

内閣総理大臣
法務大臣

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