意見書第21号 環太平洋連携協定(TPP)を批准しないことを求める意見書について
議決日:平成28年12月20日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成28年12月20日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 澤田昌作 様
意 見 書 (案)
多国籍企業の利益追求から国民の暮らしと命を守るため、TPPに批准されないよう要望いたします。
(理 由)
アメリカ大統領選挙で環太平洋連携協定(TPP)に反対しているトランプ氏が当選し、オバマ現大統領も任期中の批准を断念したと伝えられる中で、TPPの発効が見通せない局面を迎えています。
TPPは、日本、アメリカなど12カ国が参加する協定ですが、日本とともにアメリカが批准しなければ発効しない仕組みです。アメリカ大統領選の結果を受け、日本以外の参加国では協定への対応を見直すなどの動きが広がっています。オバマ政権下での批准がほぼなくなり、トランプ政権の発足は来年1月であり、選挙中「離脱」とまで発言したトランプ氏の対応も不明な中で批准を急ぐ理由はありません。
TPP承認案については、衆院において十分な審議がなされたとは言えないものの、協定そのものの多国籍大企業優遇の本質や、農業、「食の安全」、医療、労働、地域経済などへの影響、投資家対国家紛争解決(ISDS)条項など国の主権を脅かす危険な内容であることが、わずかな審議の中でも明らかになっています。
安倍首相は、日本が「自由で公正な貿易ルールを牽引する意思を示せば、世界に広がる保護貿易主義を食い止める力になる」との見解を示していますが、TPPの本質的な問題は、自由貿易をとるか保護主義をとるかというものではなく、多国籍企業の横暴から各国の国民の命と暮らしをどう守るかということに集約されます。
アメリカ国民がTPP反対のトランプ氏を支持した大きな要因は、北米自由貿易協定(NAFTA)をはじめ、これまでの政権が推し進めた自由貿易一辺倒の政策が多国籍大企業の横暴を野放しにし、労働者の職場を奪い、中間層が激減するなど、貧富の格差を拡大させ、社会を荒廃させたことへの批判です。
11月25日、TPP承認案と関連法案について、中央公聴会においてアジア太平洋資料センターの内田聖子代表理事は、世界で自由貿易協定反対の動きが広がっていることについて「自由貿易推進の歴史の失敗を表している」と指摘し、自由貿易で多国籍企業は利益を上げたが、市民には還元されず、格差が広がったと強調しています。
よって、政府におかれては、多国籍企業の横暴な利益追求をアジア・太平洋地域に広げるTPPについて、国民の暮らしと命を守る立場から批准しないよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
外務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣