意見書第19号 介護保険制度のサービス縮小を行わないことを求める意見書について
議決日:平成28年12月20日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成28年12月20日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 上田芳裕
同 西岡誠也
同 上野美恵子
熊本市議会議長 澤田昌作 様
意 見 書 (案)
高齢者が地域で自立した生活を継続するため、介護保険制度のサービス縮小を行われないよう要望いたします。
(理 由)
社会保障審議会介護保険部会は、次期介護保険制度の見直しのために、本年7月から「軽度者への支援のあり方」、「福祉用具・住宅改修」などについて本格的な議論を始めています。「介護保険の持続可能性の観点」「要介護3以上の人のサービス重点化」が強調され、社会保障費抑制のために、さらなる利用者負担の増加、軽度者切りが予想されます。
昨年度から、要支援1・2(約175万人)への生活援助サービス(掃除や調理など)は、介護保険給付から市町村事業へ移行が始まり、同サービスの質や量の確保について懸念が広がっています。ところが、今回の議論では、要介護1(約122万人)、要介護2(約108万人)の同サービスについても市町村事業に移行する案が出されています。
また、軽度者向けの福祉用具貸与(歩行器の貸し付けなど)、住宅改修(手すりの取り付けなど)の利用を原則自己負担化すること、要支援1・2の生活援助サービスを原則自己負担化することも論点となっています。さらに、現在、介護サービスの利用料負担は原則1割(昨年8月から一定以上の収入のある世帯については2割)ですが、これを原則2割に引き上げる案なども検討されています。
生活援助サービスは在宅高齢者の日々の暮らしを支え、また、福祉用具・住宅改修は転倒や骨折を予防し、ともに高齢者が地域で自立した生活を継続する生命線です。もし、軽度者向けサービスの自己負担化や、利用料の引き上げが行われれば、軽度者、低所得世帯などの切り捨てにつながりかねません。
よって、政府におかれては、高齢者の尊厳を守り、自立を支援し、要介護状態の重度化を防ぐという介護保険の理念に基づき、また、家族の「介護離職ゼロ」を実現するためにも、介護保険制度のサービス縮小を行われないよう強く要望いたします。
記
1 要介護1・2の生活援助サービスは、現行どおり介護保険給付の対象とし、市町村の地域支援事業へ移行しないこと。あわせて、現在、地域支援事業に移行が進められている要支援1・2の生活援助サービスの状況を把握し、高齢者が安全、安心に暮らせるよう改善を図ること。
2 福祉用具・住宅改修と要支援1・2の生活援助サービスについて、利用者の負担を増す原則自己負担化を行わないこと。
3 介護保険の自己負担割合(原則1割)の引き上げや、負担額に上限を設けている「高額介護サービス費」の限度額の引き上げを行わないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
厚生労働大臣