意見書第26号 改正派遣労働法の見直しを求める意見書について
議決日:平成27年10月2日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成27年10月2日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 西岡誠也
同 上田芳裕
同 上野美恵子
熊本市議会議長 満永寿博 様
意 見 書 (案)
労働者の雇用の不安定化と低賃金化を助長する改正派遣労働法を速やかに見直されるよう要望いたします。
(理 由)
第189回通常国会で可決成立し、施行された改正派遣労働法は、企業が派遣労働者を受け入れることができる「原則1年最長3年」の期間制限を撤廃し、「臨時的・一時的」、「常用代替の禁止」などを原則にしたこれまでの労働者派遣制度の根幹を破壊する内容となっています。
これまでの制度では、専門的な26業務以外で派遣社員として働いている労働者は「原則1年最長3年」が期限で、期限を超えて働き続けてもらうには企業が直接雇用を申し出ることになっており、正社員化の道が開かれていました。ところが、改悪によって業務ごとの期間制限がなくなり、派遣先の企業は、多数派の労働組合に説明するだけで派遣社員の受け入れを続けることができるほか、3年ごとに人さえ替えれば、同じ業務を何年でも派遣社員に任せることができます。まさに、派遣労働者から直接雇用や正社員への道を奪うものと言わざるを得ません。
しかも、違法派遣があれば直接雇用させる「労働契約申込みみなし制度」が今月から施行されますが、改正派遣労働法を9月30日に施行し、「みなし制度」を発動させないという、大企業・財界側の利潤に立った政府の対応も看過できないものです。
さらに、これまでの派遣の期間制限がない26業務の指定も廃止されるため、専門的な派遣労働者が大量に解雇されるのではないかという不安が広がっています。
「派遣労働の常用代替を可能にし得る等の問題点が何ら解消されていない」、「派遣可能期間を撤廃すれば、直接雇用労働者が『安くて切りやすい』派遣労働者に置き換えられていくことは必至」、「派遣労働者の常用代替が進めば、雇用の不安定化と低賃金化がもたらされ、現在でも指摘されている、貧困・格差をより拡大・固定化させる危険性が大きい」など、各地の弁護士会から厳しい指摘が寄せられていることは極めて重大です。
派遣社員など非正規の労働者が増え続けることは、労働者全体の賃金水準を押し下げ、消費を冷やし、経済そのものの停滞を招くなど、日本の経済と社会にとっても重大な問題です。また、深刻な社会問題になっている貧困と格差をさらに拡大させることは明らかです。
よって、政府におかれては、改正派遣労働法を速やかに見直されるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
厚生労働大臣
規制改革担当大臣