意見書第10号 農協解体をやめ、TPP交渉からの撤退を求める意見書について
議決日:平成27年3月5日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成27年3月5日提出
熊本市議会議員 東すみよ
同 田上辰也
同 福永洋一
同 西岡誠也
同 益田牧子
熊本市議会議長 三島良之 様
意 見 書 (案)
農協の解体をやめ、TPP交渉から撤退されるよう要望いたします。
(理 由)
安倍政権は、強い農協をつくり農家の所得を増やしていくことを目的に、農協法を改定し、中央会(全国農業協同組合中央会、JA全中)による地域の農協への指導・監査権の撤廃を進めようとしています。
農協は、販路について、全中やJA全農(農作物販売を担う全国農業協同組合連合会)という全国組織をうまく活用して、地域の農協による個別販売と全農を通じての系統販売を組み合わせて工夫して行っており、地域の農協は中央会の役割を評価しています。全国的な共同販売を担い、独占禁止法の適用除外になっている全農の株式会社化は、独占禁止法の適用となります。大手スーパーなどに比べれば取引交渉力の弱い個々の農家が、農家同士で熾烈な競争をすることになり、買い手側にさらに買いたたかれる状況になります。農協の共同販売はカルテルではなく、むしろ競争条件を対等にするためのルールとして国際的に認められた制度です。世界の主な協同組合が加盟する国際協同組合同盟(ICA)も昨年6月、日本の農協が経済や震災復興に「多大な貢献」をしていると評価し、国連が2014年を国際家族農業年に定めた趣旨からも、農協運動の解体に「反対」すると表明しています。
また、地域の農協に対する指導・監査権の撤廃は、全国の農協の結集力が弱まり、日本の農業を守っていくためのTPP反対運動等の力がそがれてしまいます。
国連は、昨年の「国際家族農業年」に続き、今年を「国際土壌年」とし、国際的取り組みを呼びかけています。経済効率優先の農業・食料生産・流通の継続はさまざまな困難をもたらしており、地域に定着する家族農業者とその共同を基本にした生産、自然の諸力を生かした持続的・循環型の生産こそ必要です。
TPP交渉からの撤退、再生産可能な農産物価格の実現、効率一辺倒から持続的な農業へ、家族と地域の共同を大事にする農業を発展させていかなければなりません。
よって、政府におかれては、農協の解体をやめて、TPP交渉からきっぱりと撤退されるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣
規制改革担当大臣