意見書第27号 解釈改憲による集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を求める意見書について
議決日:平成26年10月6日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成26年10月6日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 家入安弘
同 上田芳裕
同 東すみよ
同 益田牧子
熊本市議会議長 三島良之 様
意 見 書 (案)
解釈改憲による集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回されるよう要望いたします。
(理 由)
7月1日、安倍政権は、国民多数の反対の声に背いて、集団的自衛権行使容認を柱とした解釈改憲の「閣議決定」を強行しました。
「閣議決定」は、「憲法9条のもとでは海外での武力行使は許されない」という従来の政府見解を180度転換し、「海外で戦争する国」への道を開くものです。憲法改定に等しい大転換を、与党の密室協議を通じて、一片の「閣議決定」で強行するなどというのは、立憲主義を根底から否定するものであり、到底容認できません。
閣議決定は、(1)武力行使にいたらない侵害(グレーゾーン)への対処、(2)自衛隊の「戦地」派兵拡大、(3)集団的自衛権の行使容認など「武力行使」要件の拡大の3本柱で構成されています。憲法9条の下で許される武力行使を日本への武力攻撃(急迫不正の侵害)の場合に限った従来の「自衛権発動の3要件」に代わり、「他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」で武力行使が可能とした「武力行使の3要件」(新3要件)を盛り込んでいます。これらの要件により、武力行使を行う地理的な制限がなくなり、時の政府の判断でいくらでも拡大できることになります。 また、海外派兵法にあった歯止めを外し、自衛隊を「戦闘地域」に派兵できるようにしています。
これまで内閣法制局長官が、「行使できないのは憲法9条の制約である。我が国は自衛のための必要最小限度の武力行使しかできないのであり、集団的自衛権はその枠を超える」と答弁してきたことが憲法や法律の政府統一見解となっており、集団的自衛権行使は憲法上許されないとされてきました。これが、内閣法制局長官だけでなく、首相や閣僚なども繰り返し国会で答弁し、閣議で決定した答弁書などでも確定した政府全体の見解です。
「閣議決定」を具体化し、「海外で戦争する国」を目指す立法措置の動きは、そのどれもが憲法に真っ向から背反するものであり、断じて許されません。
よって、政府におかれては、日本の自衛とは無関係に、海外で戦争をする国となる集団的自衛権の行使を容認する憲法違反の「閣議決定」を撤回されるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
防衛大臣