意見書第14号 特定秘密の保護に関する法律の廃止を求める意見書について
議決日:平成26年6月23日
議決結果:否決
熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成26年6月23日提出
熊本市議会議員 田尻将博
同 家入安弘
同 上田芳裕
同 東すみよ
同 益田牧子
熊本市議会議長 三島良之 様
意 見 書 (案)
特定秘密の保護に関する法律を早急に廃止されるよう要望いたします。
(理 由)
昨年12月の臨時国会で特定秘密保護法が成立し、1年以内に施行するとされています。しかし、政府・与党が制定に強く反対する国内外の広範な世論に背を向け、十分な審議時間も確保しないまま数の力で押し切った成立過程に大きな問題がある上、同法は国民の「知る権利」や表現・言論の自由、取材・報道の自由を著しく制限しかねず、その施行は将来に重大な禍根を残すものであります。
同法は、特定秘密の定義が曖昧で秘密の範囲が際限なく拡大する危険性が極めて高く、処罰範囲が歯止めなく広がる恐れがあり、秘密指定は何度でも延長可能で、内閣が認めれば永続的に情報開示を拒むことができるなど、懸念される点は数多くあります。さらに、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則(ツワネ原則)」に照らしても多くの疑義があり、国が有する情報の公開原則を重視する国際的な潮流に反しています。
安倍政権は、特定秘密をチェックする新たな機関として「保全監視委員会」「情報保全監察室」「情報保全諮問会議」「独立公文書管理監」の設置を表明していますが、いずれの組織も政府からの独立性や客観性の担保もなく、特定秘密指定の恣意性を排除し得るのか大いに疑問だと言わざるを得ません。また、政府の秘密指定の妥当性を監視する国会の機関についても、自民党案では監視機関が政府に特定秘密の提出を求めるのは、常任・特別委員会からの要請があった場合に限られ、意見を述べても強制権もないなど全く評価に値しません。
国として、特に厳格な管理が必要な情報があることは否定しませんが、その場合も後世に検証可能な制度とすべきであり、政府が持っている情報は本来、国民が共有すべき財産であることが大前提であります。特定秘密保護法には、そうした民主主義の基本的理念が根本的に欠落している上、情報公開法や公文書管理法の拡充も進んでいない現状では到底、施行すべき状況ではありません。
よって、政府におかれては、特定秘密保護法を早急に廃止されるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
特定秘密保護法担当大臣