意見書第7号 ブラッドパッチ療法の保険適用及び脳脊髄液減少症の診断・治療の推進を求める意見書について
議決日:平成25年3月26日
議決結果:可決
地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成25年3月26日提出
熊本市議会議員 田辺正信
同 家入安弘
同 上田芳裕
同 鈴木 弘
同 藤岡照代
熊本市議会議長 津田征士郎 様
意 見 書 (案)
脳脊髄液減少症の診断・治療を推進するため、所要の施策を講じられるよう要望いたします。
(理 由)
脳脊髄液減少症とは、交通事故、スポーツ外傷、落下事故、暴力等、頭頸部や全身への衝撃により、脳脊髄液が漏れ続け、頭痛、首・背中の痛み、腰痛、めまい、吐き気、視力低下、耳鳴り、思考力低下等の様々な症状が複合的に発症する疾病と言われています。
医療現場においては、このような症状の原因が特定されない場合が多く、患者は「怠け病」あるいは「精神的なもの」と判断されてきました。また、この疾病に対する治療法として、ブラッドパッチ療法の有用性が認められつつも、保険適用外であり、診断・治療基準も定まっていないため、患者本人の肉体的・精神的苦痛はもとより、患者家族の苦労も計り知れないものがあります。
平成23年度の厚生労働省研究班による「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」の報告書に、「交通事故を含め外傷による脳脊髄液の漏れは決して稀ではない」と明記され、このことにより外傷による髄液漏れはあり得ないとの医学界の常識を覆す結果となりました。
さらに、脳脊髄液減少症の一部である「脳脊髄液漏出症」の画像診断基準が定められ、昨年5月に、治療法である硬膜外自家血注入療法(いわゆるブラッドパッチ療法)が「先進医療」として承認され、7月から平成26年度の保険適用を目指し、ブラッドパッチ療法の治療基準作りが開始されました。
また、研究班による世界初といわれる脳脊髄液減少症の周辺病態の研究も並行して行われることになっていますが、脳脊髄液減少症患者の約8割は「脳脊髄液漏出症」の診断基準には該当しないため、脳脊髄液減少症の周辺病態の解明に大きな期待が寄せられています。
よって、政府におかれては、以上の現状を踏まえ、下記事項について適切な措置を講じられるよう強く要望いたします。
記
1 ブラッドパッチ療法の治療基準を速やかに定め、平成26年度に保険適用とすること。
2 「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」を平成25年度以降も継続し、「診療ガイドライン」の早期作成とともに、子どもに特化した研究及び周辺病態の解明を行うこと。
3 脳脊髄液減少症の実態調査を実施し、患者・家族に対する相談及び支援体制を確立すること。
4 ブラッドパッチ療法に関する「先進医療」認定施設を各都道府県に最低1カ所設けること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
厚生労働大臣