意見書第32号 新たな枠組みによる徳育の教科化を求める意見書について
議決日:平成24年12月25日
議決結果:可決
地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成24年12月25日提出
熊本市議会議員 齊藤 聰
同 田尻善裕
同 江藤正行
同 落水清弘
同 牛嶋 弘
同 坂田誠二
同 澤田昌作
同 下川 寛
同 大石浩文
熊本市議会議長 津田征士郎 様
意 見 書 (案)
すべての子供たちに高い規範意識を身につけさせるため、新たな枠組みによる徳育の教科化を図られるよう要望いたします。
(理 由)
平成18年、教育基本法が約60年ぶりに改正され、その趣旨に基づき、翌年、政府の教育再生会議は中央教育審議会(文科相の諮問機関)に対し、すべての子供たちに高い規範意識を身につけさせるためとして、現在の道徳の時間を「徳育」とし、従来の教科とは異なる「新たな枠組み」として教科化し、指導内容や教材を充実させること(注:数値による評価なし、学級担任が担当)を提唱しました。
しかし、中央教育審議会は徳育の教科化に消極的で、また、文科省も「心の問題を扱う道徳に、検定教科書や評価はなじまない」等の理由により、教育基本法の改正等に伴う学習指導要領の改訂では、「道徳教育は、道徳の時間を要に学校の教育活動全体を通じて行う」と位置づけただけで、徳育の教科化については見送られました。
一方、新学習指導要領では、道徳教育推進教師を置き、年間指導計画の作成や各教員に指導内容を周知徹底することを通じて道徳教育を充実させるとしていますが、現状の道徳教育では、教科のような指導効果に即効性を感じられず、道徳の時間が十分に確保されていない上、道徳教育推進教師の設置といっても教師が増員されるわけでもありません。
このような中、全国の学校では、いじめや非行の低年齢化が進み、規範意識や公共心を育む必要性は年々高まってきています。また、家庭の教育力低下に加え、道徳教育の形骸化が進み、教育現場は有効な手だてを打ち出せず深刻さを増しています。
このようなことからも、やはり徳育を教科として充実させ、自分を見つめ、他を思いやり、感性豊かな心を育てるとともに、人間として必要な規範意識を学校でしっかり身に付けさせることが不可欠であります。
教育は国家百年の大計です。知・徳・体のバランスのとれた教育環境が整備され、心身ともに健やかな「徳」のある子供が育まれることを国民は切望しています。
よって、政府におかれては、新たな枠組みによる徳育の教科化を推進し、教育の根幹を担う道徳教育の充実を図られるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
文部科学大臣