意見書第19号 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加への慎重な対応を求める意見書について
議決日:平成22年11月30日
議決結果:可決
地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成22年11月30日提出
熊本市議会議員 津田征士郎
同 江藤正行
同 税所史熙
同 満永寿博
同 原亨
同 佐々木俊和
同 中松健児
同 村上 博
同 西 泰史
同 鈴木 弘
同 益田牧子
熊本市議会議長 坂田誠二様
意 見 書 (案)
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加検討に当たっては、慎重に対応されるよう要望いたします。
(理 由)
わが国の農業を取り巻く情勢は、担い手の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加、価格の低迷など非常に厳しい状況にあります。
こうした中、政府は11月9日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、「関係国との協議を開始する」と明記した「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定されました。
しかし、この環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)は、例外なき関税撤廃を前提とするものであり、米などの重要品目については例外扱いし、国内産業に悪影響を与えないよう最大限配慮されてきたこれまでの経済連携協定(EPA)とは比較にならないほど厳しい内容のものであります。
仮に、この協定に拙速に参加した場合、我が国の農業への影響は計り知れず、全国有数の農業都市である本市を始め、国内農業が壊滅的な打撃を受ける強い懸念があるとともに、食料自給率の向上、食の安全安心という政府の方針に逆行して、食料の安全保障を脅かす国家の根幹に関わる問題であります。
また、農業は地域において生産資材や農業機械等の製造業、食品加工、運輸、流通・販売、観光など広範囲な産業と密接に結びついており、農業生産の縮小ともなれば、疲弊している地域経済をより一層冷え込ませ、雇用環境を極度に悪化させる恐れがあります。
今回の政府の対応は、農業関係者を始め、食品産業、消費者等の幅広い国民的議論もなく、唐突に検討表明が出された印象が否めません。
よって、政府におかれては、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加検討に当たっては、国内農業への十分な配慮の上で、下記のとおり慎重に対応されるよう強く要望いたします。
記
1 関税撤廃が原則である環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加は、国内農業へ甚大な影響を与えるのみならず、我が国の食料事情を危うくし、食料安全保障の観点からも、国民の生活を危機的状況に追い込むことが想定されることから、具体的な対策を示すことなく参加しないこと。
2 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加が全産業分野に及ぼすメリット、デメリットについて、国会において慎重に審議するとともに、国民に対し詳細な情報提供を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣