意見書第10号 国直轄事業負担金の抜本的な見直しを求める意見書について
議決日:平成21年6月26日
議決結果:可決
発議第10号
国直轄事業負担金の抜本的な見直しを求める意見書について
地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出する。
平成21年6月26日提出
熊本市議会議員 津田征士郎
同 大石浩文
同 江藤正行
同 税所史熙
同 満永寿博
同 原亨
同 下川 寛
同 佐々木俊和
同 中松健児
同 村上 博
同 西 泰史
同 鈴木 弘
同 益田牧子
熊本市議会議長 竹原孝昭様
意 見 書 (案)
国直轄事業負担金を抜本的に見直し、国と地方の役割分担を
明確化した上で、分権型社会にふさわしい制度を構築されるよ
う要望いたします。
(理 由)
国の直轄事業は、法律により事業範囲を定め国自らが直接行
う事業であり、全国的な見地から必要とされる広域的事業等で
ありますが、その実施にあたっては、地方が国に直轄事業負担
金を支出しています。
しかし、地方が国庫補助負担金の交付を受ける場合に、国へ
の事前説明や提出書類の作成といった膨大な事務手続きが求め
られるのに対して、国直轄事業負担金の支出の際には、前年度
に翌年度分の事業計画が通知されるようにはなりましたが、事
前協議は行われず、その内訳明細も示されないまま地方が請求
された額を支払うだけという、地方分権にもとる手続きとなっ
ております。
それゆえ地方六団体はじめ地方の側からは、かねてから国直
轄事業負担金の縮減・廃止や現行制度の早急な改善を進めるこ
とが要求され、また地方分権推進委員会や地方分権改革推進会
議などでも、その見直しが提起されてきました。
特に、今回、国直轄事業負担金に、国道事務所等の庁舎改修
費や国家公務員の人件費、退職手当、一般旅費、さらに上級機
関である地方整備局の人件費まで含まれていることが明らかに
なったことなどを契機に、国直轄事業負担金のあり方が分権の
課題として大きくクローズアップされています。
そこで、参議院総務委員会は3月27日、「地方分権改革を
推進するための地方税財政基盤の確立に関する決議」において、
「国の直轄事業については、国と地方の役割分担の明確化と国
の役割の重点化の観点から、抜本的に見直すこと。また、直轄
事業負担金については、役割分担の明確化等に応じ、廃止を含
む見直しを行うこと。」としています。
また、地方分権改革推進委員会も4月24日、「国直轄事業
負担金に関する意見」において、直轄事業の縮減、透明性の確
保・充実及び維持管理費負担金の廃止を打ち出しました。
よって、政府におかれては、国直轄事業負担金について地方
の意見に真摯に耳を傾け、地方の自主性・裁量性を拡大し、分
権型社会にふさわしい制度として抜本的に見直されるよう、下
記の事項について強く要望いたします。
記
1 地方の予算編成等に支障を生じないよう、国は、負担金の
基準や内訳明細について、早期に十分な説明や詳細な情報提供
を徹底し、事業主体として地方への説明責任を果たすこと。負
担金の対象とし得る経費の範囲について、明確な線引きを行う
こと。
2 直轄事業の実施にあたっては、事前協議制度を導入するな
ど、地方の意見が十分反映できるよう現行制度を改善すること。
3 直轄事業の維持管理費に係る負担金については、本来、そ
の管理水準を決定する管理者である国が負担すべきであること、
国庫補助事業には維持管理に対する補助負担制度がない一方で、
直轄事業では維持管理費に対する負担金が課せられるなど著し
く均衡を欠いていること、建設費と比較して地方負担の割合が
高くなっていること、維持管理費は将来にわたり継続し地方財
政にとって大きな負担となることなどから、早急に廃止するこ
と。
4 直轄事業制度の根幹の見直しに向けて、国が責任を持つべ
き事業の縮減や地方に移譲すべき事業の拡大をはじめ、制度に
関わる根幹的な問題について、十分に協議していくこと。地方
が担うべき事業は、権限と財源を地方へ一体的に移譲した上で、
地方が自らの判断で自主的、主体的に事業実施できるようにす
ること。
5 国と地方の役割と財政負担のあり方を一致させる観点から、
社会資本整備に関する国と地方の役割分担を明確化した上で、
最終的に国直轄事業負担金制度を抜本的に見直すこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたし
ます。
平成 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣