意見書第24号 放送法等の一部を改正する法律案の慎重審議を求める意見書について
議決日:平成19年9月20日
議決結果:否決
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│ 発議第24号 │
│ 放送法等の一部を改正する法律案の慎重審議を求める意見書について │
│ 地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出す │
│ る。 │
│ 平成19年9月20日提出 │
│ 熊本市議会議員 東 すみよ │
│ 同 田 辺 正 信 │
│ 同 佐々木 俊 和 │
│ 同 村 上 博 │
│ 同 益 田 牧 子 │
│ 熊本市議会議長 牛 嶋 弘 様 │
│ 意 見 書 (案) │
│ 放送法等の改正については、拙速に成立を図るものではなく、慎重な審議が行│
│ われるよう要望いたします。 │
│ (理 由) │
│ 現在、国会で審議されている放送法等の一部を改正する法律案は、NHKガバ│
│ ナンスの強化、ねつ造番組を流した放送局への行政処分の新設、認定放送持株会│
│ 社の導入、命令放送の見直しなど多岐の論点にわたる内容となっています。 │
│ 特に民法の番組ねつ造問題をきっかけに、放送への介入をもくろむ新たな措置│
│ が改正案には盛り込まれています。現在の放送法は、表現の自由、国家権力によ│
│ る介入の排除と、放送の自主・自立を謳い、第1章「放送番組編集の自由」で │
│ 「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉さ │
│ れ、又は規律されることはない」(第3条)と定めています。にもかかわらず、│
│ 法案の第53条の8の2として、「総務大臣は、虚偽の説明により事実でない事│
│ 項を事実であると誤解させるような放送で、国民生活に悪影響を及ぼすそおれが│
│ ある場合、放送局に再発防止の計画の提出を求め、意見をつけて公表する」とい│
│ う規程を新設しようとしています。処分は、ニュースやドラマなどすべての番組│
│ が対象になるといいます。そうなると、政治権力が番組内容にまで立ち入ること│
│ になり、虚偽の説明や事実でない事実を行政自らが判断し、政府にとって都合の│
│ 悪いことは、不適切とされ、政府による干渉は際限のないものになりかねませ │
│ ん。 │
│ 総務省は、新制度について、放送業界の第三者機関である放送倫理・番組向上│
│ 機構(BPO)が自主的な再発防止策に取り組んでる間は施行を凍結する方針で│
│ あると説明していますが、条文が新設されれば、放送事業者に対しては、萎縮効│
│ 果を及ぼし、編集者の自主規制へとつながり、放送による表現の自由を奪うもの│
│ にほかならず、視聴者にとっては知る権利を奪われるものです。 │
│ この点については、NHKや民法連、日弁連、自由人権協会はじめ多くの専門│
│ 家、メディア関係者、市民団体等から反対や疑問の声が寄せられています。あく│
│ までもねつ造や「やらせ」番組等の不祥事等のテレビのモラル低下については、│
│ 世論の批判とテレビ事業者及び放送業界の自浄努力に委ねるべきであって、政府│
│ や行政権力が安易に介入すべきではありません。 │
│ 放送法等改正案は、このほかにも多くの論点が含まれていますが、全体として│
│ 政府・行政によるメディアへの権限が強まる内容になっています。 │
│ よって、政府におかれては、放送法等改正案について拙速に成立を図ろうとす│
│ るのではなく、慎重に取り扱われるよう強く要望いたします。 │
│ 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 │
│ 平成 年 月 日 │
│ 議 長 名 │
│ 内閣総理大臣 ┐ │
│ ├ 宛(各通) │
│ 総務大臣 ┘ │
│ │
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