意見書第20号 「こうのとりのゆりかご」に関する意見書について
議決日:平成19年9月20日
議決結果:可決
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│ 発議第20号 │
│ 「こうのとりのゆりかご」に関する意見書について │
│ 地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出す │
│ る。 │
│ 平成19年9月20日提出 │
│ 熊本市議会議員 坂 田 誠 二 │
│ 同 藤 山 英 美 │
│ 同 落 水 清 弘 │
│ 同 税 所 史 熙 │
│ 同 古 川 泰 三 │
│ 同 齊 藤 聰 │
│ 同 田 辺 正 信 │
│ 同 佐々木 俊 和 │
│ 同 村 上 博 │
│ 同 田 尻 善 裕 │
│ 同 西 泰 史 │
│ 同 鈴 木 弘 │
│ 同 益 田 牧 子 │
│ 熊本市議会議長 牛 嶋 弘 様 │
│ 意 見 書 (案) │
│ 熊本市内の医療法人が開設・運営する「こうのとりのゆりかご」に関して、本│
│ 市が行う検証や母子福祉の取り組みへの国の理解と支援を要望いたします。 │
│ (理 由) │
│ 昨年12月15日、熊本市内に所在する医療法人から「ゆりかご」設備の病院│
│ 内設置を目的とした病院開設許可事項変更許可申請が本市に対して提出されまし│
│ た。しかし、我が国の法体系はそのような設備の設置・運営を想定していないこ│
│ とから、刑法上の保護責任者遺棄罪や児童虐待防止法上の虐待行為等に抵触しな│
│ いかなどの疑義があったところです。そのため、厚生労働省及び法務省に照会し│
│ たところ、「(子どもが)直ちに救護されるのであれば、関係法令に違反してい│
│ るとまでは言い切れない」との回答があったことから、「医療法上の変更許可を│
│ しないこととする合理的な理由はない」と判断し、@子どもの安全の確保、A病│
│ 院としての相談機能の強化、B公的相談機関等との連携の3つの留意事項を付記│
│ して、本年4月5日に本市による医療法上の許可が行われたところであります。│
│ これを受け、本年5月10日、我が国初の「ゆりかご」の設置・運営が開始さ│
│ れ得たところでありますが、「ゆりかご」はその利用を行う者の匿名性を前提と│
│ していることから、置かれた子ども達が「救われた命」であったのか、それとも│
│ 「安易な養育放棄や子捨ての助長」の結果であったのか、判然とはしないところ│
│ であります。そのため、「ゆりかご」の運用に明らかな違法性が生じていない │
│ か、3つの留意事項は適切に遵守されているかなどの短期的検証を積み重ねると│
│ ともに、「ゆりかご」が生まれた社会的な背景や課題を探り、対策を検討する中│
│ 期的検証に取り組む必要があり、医療や児童福祉、法律等の専門家で構成する組│
│ 織を設置して、「ゆりかご」の検証に取り組むこととなりました。 │
│ また、「ゆりかご」の利用による匿名性を可能な限り排除するため、熊本市と│
│ しての相談体制の強化に取り組んでいるところであり、相談員の増強や「365│
│ 日、24時間体制での妊娠に関する悩み電話相談」等の実施に踏み切ったところ│
│ です。その結果、実施4ヶ月にして昨年度1年間の実績115件を大幅に上回る│
│ 330件以上の相談が寄せられ、妊娠に関する悩みを持つ人が如何に多いかが実│
│ 証されているところです。しかも、その約2割が市外・県外からの相談であり、│
│ また、「ゆりかご」を設置する医療法人への相談実績は約8割が県外からのもの│
│ と伝えられており、妊娠の悩みに関する相談体制の強化の必要性はまさに全国的│
│ な課題であります。 │
│ さらに、「ゆりかご」の検証を行うには全国的な知見と情報が必要であり、ま│
│ た、検証結果によっては法令や支援策の整備等が必要になることも十分に考えら│
│ れることから、国の理解と積極的な支援が強く求められるところであります。 │
│ よって、政府におかれては、毎日のように報じられる児童に対する悲惨な虐待│
│ や遺棄の現状を見据えられた上で、「ゆりかご」に関する下記事項について、特│
│ 段の理解と支援を賜るよう強く要望いたします。 │
│ 記 │
│ 1 妊娠に関する悩み相談体制の全国的な充実 │
│ 2 「ゆりかご」運用上の課題や短期的検証の結果に対する助言と支援 │
│ 3 中期的検証の結果で現状に対応した法令整備、母子福祉対策等への対応 │
│ 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 │
│ 平成 年 月 日 │
│ 議 長 名 │
│ 内閣総理大臣 ┐ │
│ 法務大臣 ├ 宛(各通) │
│ 厚生労働大臣 ┘ │
│ │
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