意見書第8号 多重債務の発生を未然に防止し消費者保護を図るための意見書について
議決日:平成18年6月21日
議決結果:可決
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│ 発議第8号 │
│ 多重債務の発生を未然に防止し消費者保護を図るための意見書について │
│ 地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出す │
│ る。 │
│ 平成18年6月21日提出 │
│ 熊本市議会議員 牛 嶋 弘 │
│ 同 佐々木 俊 和 │
│ 同 主 海 偉佐雄 │
│ 同 江 藤 正 行 │
│ 同 坂 田 誠 二 │
│ 同 津 田 征士郎 │
│ 同 田 辺 正 信 │
│ 同 磯 道 文 徳 │
│ 同 鈴 木 弘 │
│ 同 宮 原 政 一 │
│ 同 藤 山 英 美 │
│ 同 益 田 牧 子 │
│ 同 白河部 貞 志 │
│ 熊本市議会議長 税 所 史 熙 様 │
│ │
│ 意 見 書 (案) │
│ 多重債務の発生の未然防止と消費者保護を図るため特段の措置を講じられるよ│
│ う要望いたします。 │
│ (理 由) │
│ クレジットや消費者金融を複数利用し返済困難に陥っているいわゆる多重債務│
│ 者は、少なく見積もっても150万人〜200万人、自己破産者は年間21万人│
│ を超え、経済・生活苦による自殺者も年間8,800人を突破しました。大半の │
│ 多重債務者は債権者の厳しい取り立てをおそれて返済のための借金を繰り返す自│
│ 転車操業に陥っており、それが原因と思われる自殺、家出、犯罪なども発生して│
│ います。国民の10人に1人が消費者金融を利用し、国民1人当たり2枚のクレ│
│ ジットカードを所有している我が国において、誰もが多重債務に陥る可能性があ│
│ ります。 │
│ こうした「多重債務社会」の一方で、大手消費者金融(サラ金)は、現在も高│
│ 収益をあげ、その役員は「長者番付」上位の常連となっています。その背景に │
│ は、低金利による資金調達とともに、利息の上限違反に刑罰を科す出資法と、民│
│ 的効力の限界となる利息を定める利息制限法の上限金利の間の差(民事上無効だ│
│ 事が刑事罰の対象とならないグレーゾーン)がありグレーゾーンの利率で貸し付│
│ けるという実態があります。この問題については、いわゆるヤミ金対策法の附則│
│ (2003年改正出資法附則第12条)で2007年1月を目途に、消費者金融│
│ の金利規制を見直すこととされており、またグレーゾーン金利を事実上否定した│
│ 今年1月の最高裁判決もあり、これから国会等での議論が本格化することが予想│
│ されます。 │
│ よって、政府におかれては、多重債務発生の未然防止と消費者保護を図るた │
│ め、下記事項を実現されるよう強く要望いたします。 │
│ 記 │
│ 1 少なくとも出資法5条の上限金利を利息制限法1条の制限金利まで引き下 │
│ げ、民事・刑事の規制を統一し、消費者金融の貸出金利の引き下げを図るこ │
│ と。 │
│ 2 貸金業の規制等に関する法律第43条「みなし弁済」規定を廃止すること。│
│ 3 多重債務者に対する相談体制を強化するとともに、クレジット・サラ金被害│
│ の未然防止のため、消費者教育の充実を図ること。 │
│ 4 年金転貸融資利用の多重債務者にも、住宅を手放すことなく生活再建する道│
│ を開くよう、年金転貸融資利用の貸付債権者に民事再生法第196条第1項第│
│ 4号の住宅資金特別条項を適用すること。 │
│ │
│ 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 │
│ 平成 年 月 日 │
│ 議 長 名 │
│ 内閣総理大臣┐ │
│ 法務大臣 ├ 宛(各通) │
│ 金融担当大臣┘ │
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