意見書第15号 国民不在の郵政民営化に反対する意見書について
議決日:平成17年6月22日
議決結果:否決
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│ 発議第15号 │
│ 国民不在の郵政民営化に反対する意見書について │
│ 地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出す │
│ る。 │
│ 平成17年6月22日提出 │
│ 熊本市議会議員 上 村 恵 一 │
│ 同 田 尻 将 博 │
│ 同 佐々木 俊 和 │
│ 同 田 辺 正 信 │
│ 同 益 田 牧 子 │
│ 熊本市議会議長 古 川 泰 三 様 │
│ 意 見 書 (案) │
│ 国民不在の郵政公社の分割・民営化に反対する立場から、国民のための郵政事│
│ 業への改革が実現されるよう要望いたします。 │
│ (理 由) │
│ 中央省庁等改革基本法第33条第6号で「民営化等の見直しは行わないものと│
│ する」と規定されていながら、なぜ民営化が必要なのか納得いく説明がなされな│
│ いまま、郵政民営化関連6法案が4月27日に閣議決定されました。 │
│ 郵政事業は、郵便事業にとどまらず、郵便貯金や簡易保険も含め、一体でユニ│
│ バーサルサービスとして地域住民の生活と切り離せないものであり、だからこそ│
│ 、国民の反対意見や懸念が広がり、与党内での対立も顕在化しています。各種世│
│ 論調査結果にもあるように郵政民営化法案を今国会で通過させることに反対、な│
│ いしは慎重にというのが多数の市民・利用者の声です。しかし、それらの声は全│
│ く無視し、はじめから「民営化ありき」として強行的に進めた小泉内閣の手法は│
│ 、議会制民主主義の軽視にほかなりません。 │
│ 郵政民営化問題は、国民の共有財産としての郵政事業と郵貯・簡保合わせて約│
│ 350兆円もの巨額の資金の将来を決定する重大問題であります。しかし、当初│
│ は、「官の肥大化をふせぐため」という理由をあげながら、現在では「郵政公社│
│ がジリ貧する」と180度違った議論を展開し、しかも政府・自民党間の修正協│
│ 議の結果、何のために郵政公社を分割・民営化せねばならないのか全く根拠を失│
│ うものとなってしまっています。 │
│ 2003年4月に発足した日本郵政公社は、現在、事業の公共性と企業性を調│
│ 和させつつ民間的な経営手法を導入し、自立的・弾力的な経営組織とするための│
│ 郵政改革を着実に進めている最中にあります。通信、流通、金融サービスを一体│
│ 的に担う郵政事業は国民の共有財産であり、企業性を追求するあまり、地方切り│
│ 捨てという事態を招きかねない郵政民営化関連法案は、利用者にとっては何のメ│
│ リットも存在せず、郵政事業の基本的使命である国民生活のセーフティーネット│
│ の役割を果たし得ないことは明らかです。また、他国の例を見ても失敗例が顕著│
│ な郵政民営化に拙速に取り組む理由はありません。 │
│ よって、政府におかれては、国民不在の郵政民営化を実施することなく、今後│
│ とも国民のための郵政事業への改革を行っていくため、下記の事項を実現される│
│ よう強く要望いたします。 │
│ 記 │
│ 1 郵政事業は、国民一人一人の生活に直結し、かつ国の財政のあり方や地域社│
│ 会づくりにも密接に関連しており、拙速に民営化等の見直しを進めないこと。│
│ 2 今後とも「三事業一体」「独立採算制」の公社形態のもとで一層の経営改革│
│ を積み重ね、経済や地域の活性化、利用者サービスの向上に努めていくこと。│
│ 特に、郵便、貯金、簡易保険のユニバーサルサービスに基づくより良質なサー│
│ ビスを国民に継続して保障するとともに、全国に張り巡らされた郵便局のネッ│
│ トワークを国民生活共有の社会的インフラ、暮らしに身近な公共サービスの拠│
│ 点として維持活用すること。 │
│ 3 郵便貯金、簡易保険とも国債市場の安定と地方への資金還流に貢献しており│
│ 、引き続きこの役割を果たせるようにすること。 │
│ 4 政府が実施した調査でも、優先して取り組むべき政策課題10項目の中、郵│
│ 政は8番目にすぎない。国民の多数が最も求めている「年金・福祉制度の充実│
│ 」や「景気・雇用対策」、「財投改革」などの課題に積極的に取り組むこと。│
│ │
│ 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 │
│ 平成 年 月 日 │
│ 議 長 名 │
│ 内閣総理大臣 ┐ │
│ 総務大臣 │ │
│ ├─宛(各通) │
│ 財務大臣 │ │
│ 郵政民営化担当大臣 ┘ │
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