意見書第7号 市場化テストや給与構造見直しに反対する意見書について
議決日:平成17年3月23日
議決結果:否決
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│ 発議第7号 │
│ 市場化テストや給与構造見直しに反対する意見書について │
│ 地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出す │
│ る。 │
│ 平成17年3月23日提出 │
│ 熊本市議会議員 上 村 恵 一 │
│ 同 田 尻 将 博 │
│ 同 佐々木 俊 和 │
│ 同 田 辺 正 信 │
│ 同 益 田 牧 子 │
│ │
│ 熊本市議会議長 古 川 泰 三 様 │
│ 意 見 書 (案) │
│ 住民サービスの水準を維持し、公務員に関する人材確保を図るため、公務・公│
│ 共サービスの民営化、公務員賃金への地域間格差の導入等の方針を撤回されるよ│
│ う要望いたします。 │
│ (理 由) │
│ 今日の我が国の社会経済情勢を見ると、景気回復が言われる一方、地域間格 │
│ 差、所得階層間格差が拡大しており、憲法が保障する基本的人権を具体化し、社│
│ 会的不平等を是正するとともに、公正な社会づくりを進める国と地方の公務・公│
│ 共サービスの役割発揮が求められております。 │
│ そのために必要なことは、第一に、地域による格差、所得による格差を縮小 │
│ し、公正な社会を目指す理念を明確にすることであり、第二に、その役割にふさ│
│ わしい水準のサービスを提供する制度を維持することであり、第三に、サービス│
│ 提供を支える人材を確保することであります。 │
│ しかし、昨年12月24日に閣議決定された「今後の行政改革の方針(新行革大 │
│ 綱)」は、国と地方と財政悪化のもとで、国の公務・公共サービス減量化、地方│
│ 自治体への公務・公共サービス減量化押し付けを行おうという政府の方針を示し│
│ ております。小泉改革の「本丸」とされる郵政民営化が、ユニバーサルサービス│
│ を骨抜きにし、地域間格差を拡大することが指摘されているように、公共サービ│
│ スの民間開放では国民の利益と権利を損なうことが懸念されます。 │
│ 三位一体改革も、税・財源移譲や国による財政調整が不十分なままでは教育や│
│ 福祉の水準維持が困難であり、国と地方が協力し、一定水準の公務・公共サービ│
│ スを提供して格差を縮小するという理念に基づく財政制度を確立することが必要│
│ であります。 │
│ また、すべての国・地方自治体のサービスを営利企業にゆだねる手段として導│
│ 入されようとしている「市場化テスト(官民競争入札)」では、委託企業が契約│
│ のたびに変わることも想定しており、安定的、継続的に求められる水準のサービ│
│ スを提供することが困難です。営利企業による効率的な経営の方を善とする立場│
│ でなく、公正な社会のための公務・公共サービスを提供することが必要でありま│
│ す。 │
│ さらに、政府・人事院は、地方勤務の公務員賃金が民間賃金より高いとして、│
│ 同一の職務には同一の給与を支払うという職務給原則を事実上踏みにじり、大幅│
│ な地域間格差導入をねらっています。これは、職員の士気を低下させ、人材確保│
│ を困難にするだけでなく、国から地方へ、地方から民間へと賃下げの悪循環をも│
│ たらし、地域経済を一層深刻な状況にすることが明白であります。 │
│ よって、政府におかれては、下記の事項を実施されるよう強く要望いたしま │
│ す。 │
│ 記 │
│ 1 住民に対する行政サービスの確保に必要な権限と財源を確保すること。 │
│ 2 国民の権利保障を後退させる公務・公共サービスの民営化や「市場化テス │
│ ト」は行わないこと。 │
│ 3 人材確保を困難にし、地域経済を疲弊させる公務員賃金への地域間格差の導│
│ 入は行わないこと。 │
│ │
│ 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 │
│ 平成 年 月 日 │
│ 議 長 名 │
│ 内閣総理大臣 ┐ │
│ 人事院総裁 │ │
│ ├─宛(各通) │
│ 総務大臣 │ │
│ 財務大臣 ┘ │
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