意見書第27号 WTO農業交渉及び東アジア各国とのFTA交渉に関する意見書について
議決日:平成16年12月20日
議決結果:可決
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│ 発議第27号 │
│ WTO農業交渉及び東アジア各国とのFTA交渉に関する意見書について │
│ 地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出す │
│ る。 │
│ 平成16年12月20日提出 │
│ 熊本市議会議員 牛 嶋 弘 │
│ 同 佐々木 俊 和 │
│ 同 主 海 偉佐雄 │
│ 同 江 藤 正 行 │
│ 同 税 所 史 熙 │
│ 同 津 田 征士郎 │
│ 同 田 辺 正 信 │
│ 同 田 尻 清 輝 │
│ 同 藤 山 英 美 │
│ 同 磯 道 文 徳 │
│ 同 鈴 木 弘 │
│ 同 益 田 牧 子 │
│ 同 白河部 貞 志 │
│ 熊本市議会議長 古 川 泰 三 殿 │
│ 意 見 書 (案) │
│ WTO及びFTAにおける農業分野の交渉を通じて、食料の安全保障、各国の│
│ 農業の共存と食料自給向上が可能となる貿易ルールを確立されるよう要望いたし│
│ ます。 │
│ (理 由) │
│ WTO(世界貿易機構)交渉は、8月1日に、今後の交渉の前提となる大枠合│
│ 意がなされました。農業分野の市場アクセス、国内支持、輸出競争について、具│
│ 体的な数値などは今後の交渉にゆだねられました。 │
│ しかし、アメリカや農産物輸出国からは、依然として、上限関税の設定や、高│
│ 関税品目の大幅引き下げ、関税割当数量の大幅拡大などが要求されています。こ│
│ れは、農産物輸出国がますます輸出を拡大しやすくするためのものであり、日本│
│ 農業への打撃はもとより、食料の安全・安定、環境などにも大きな影響を与える│
│ ものです。 │
│ また、アメリカなどが行っている国内農家への手厚い補助や、輸出補助政策に│
│ ついて、大枠合意では実質的削減に結びつかないものとなっており、途上国など│
│ から反発が高まっています。 │
│ このような公平さを欠いた交渉を是正し、地球規模での食料・環境問題を解決│
│ するため、各国が自国の生産資源を最大限活用し、共生・共存できる「新たな農│
│ 産物貿易ルールの確立」が求められています。 │
│ また、FTA(二国間自由貿易協定)については、現在、韓国、マレーシア、│
│ フィリピン、タイとの交渉が行われていますが、特に東南アジア各国からは農産│
│ 物の貿易自由化が求められています。さきのメキシコとのFTA交渉でも見られ│
│ たように、工業製品の輸出自由化のために、農業分野が大幅な譲歩を強いられ、│
│ 食料や農業は大きな影響を受けることになるのは必至です。 │
│ 私たちは、WTO及びFTAにおける農業分野の交渉に当たって、農業の多面│
│ 的機能の発揮と食料の安全保障、各国の農業の共存と食料自給向上が可能な貿易│
│ ルールの確立を強く求めています。 │
│ よって、政府におかれては、下記の内容を実現されるよう強く要望いたしま │
│ す。 │
│ 記 │
│ 1 WTO農業交渉では、世界的な飢餓の拡大や地球規模での環境悪化につなが│
│ ることのないよう、農林水産業の多面的機能の発揮や食料自給の向上、各国の│
│ 多様な農林水産業が共生・共存できる貿易ルールに改めるよう確固たる姿勢で│
│ 臨むこと。 │
│ 2 上限関税の設定や関税割当数量の一律的、義務的拡大には断固反対するこ │
│ と。 │
│ 3 国内農林水産業の維持を可能とする関税率水準や国家貿易体制、特別セーフ│
│ ガードの維持などの国境措置を確保し、急速な市場開放には絶対に応じないこ│
│ と。 │
│ 4 行き過ぎたAMS(助成合計量)削減の是正と、「緑の政策」の要件緩和な│
│ ど国内支持政策に関する適切な規律を確保すること。 │
│ 5 東アジア諸国とのFTA交渉では、農林水産物の関税撤廃・削減は、国内農│
│ 業への打撃を与え、WTO農業交渉や他国との交渉に重大な影響を与えること│
│ から、絶対に行わないこと。 │
│ 6 WTO・FTA交渉についての情報公開を徹底し、各国の農業者や消費者、│
│ 市民の声を反映すること。 │
│ │
│ 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 │
│ 平成 年 月 日 │
│ 議 長 名 │
│ 内閣総理大臣 ┐ │
│ 外務大臣 │ │
│ ├─宛(各通) │
│ 農林水産大臣 │ │
│ 経済産業大臣 ┘ │
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