意見書第6号 「有事法制」に反対する意見書について
議決日:平成14年3月27日
議決結果:否決
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│ 発議第6号 │
│ 「有事法制」に反対する意見書について │
│ 地方自治法第99条及び第112条の規定により意見書を次のとおり提出す│
│ る。 │
│ 平成14年3月27日提出 │
│ 熊本市議会議員 大 江 政 久 │
│ 同 上 村 恵 一 │
│ 同 家 入 安 弘 │
│ 同 佐々木 俊 和 │
│ 同 中 松 健 児 │
│ 同 益 田 牧 子 │
│ 熊本市議会議長 白 石 正 殿 │
│ 意 見 書 (案) │
│ 地方自治体や住民(国民)の納得、理解が不十分なまま「有事法制」を国会に│
│ 提出し、制定されないよう強く要望いたします。 │
│ (理 由) │
│ 開会中の第154回通常国会に提出されるという「有事法制」は、この間、│
│ 「法案提出は考えていない」との大前提で研究が進められてきた経緯があり、そ│
│ の扱いは慎重を期さなければならないきわめて重要な案件であります。 │
│ その内容は、地方自治及び住民(国民)生活と密接不可分のものであるだけ│
│ に、地方自治体の意見・意向を十分踏まえての検討でなければならないと考えて│
│ います。 │
│ 地方自治体は、地方自治法に定められた自治体の責務である「住民の生命と財│
│ 産を守る」ため、安心した暮らしの保障、また災害等緊急事態への対応のため、│
│ 日夜、住民サービスを初め警察や消防等の業務に真摯に取り組んでいるところで│
│ あります。 │
│ ところが、マスコミ報道等によりますと、今回の「有事法制」は、空港や港│
│ 湾、病院などの公共機関・施設の軍事的利用を初め、道路法、海岸法、河川法、│
│ 森林法、建築基準法、危険物運搬規則、医療法、墓地・埋葬法など住民生活に深│
│ く関わっている諸法令を、防衛出動した自衛隊の行動が優先する方向で改定する│
│ とともに、緊急事態における自治体・首長の権限を政府・首相の権限に移管(集│
│ 中)するほか、その事態に対応する業務の遂行では、自治体や自治体職員そして│
│ 民間人・住民(国民)に対して強制力を持った従事命令を下すとの内容になって│
│ います。 │
│ 一般的に「有事」という場合、テロ行為や不審船問題、大地震などにあるよう│
│ な社会的事件、自然災害等と、戦時(戦争)とは明確に区別しなければなりませ│
│ ん。しかし、今回はその辺を混同した中で戦時法制を持ち出している感を拭い得│
│ ません。戦時にさせないのが政治の責任であります。言うまでもないことです│
│ が、いかなる事態であっても、自治体、国は国民主権、基本的人権等を定めた憲│
│ 法に則った政治を行わなければならないと考えます。 │
│ 地方自治体や住民(国民)の納得、理解が不十分なまま同法案が国会に提出さ│
│ れたり、ましてや成立させるようなことはあってはなりません。しかし、今の国│
│ の動向は短兵急と言わざるを得ません。 │
│ よって、政府におかれては、以上のような「有事法制」の国会提出また制定を│
│ されないよう強く要望いたします。 │
│ │
│ 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。 │
│ 平成 年 月 日 │
│ 議 長 名 │
│ 内閣総理大臣┐ │
│ ├─宛(各通) │
│ 防衛庁長官 ┘ │
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