意見書第34号 介護保険制度導入に伴う介護サービス基盤の充実強化を求める意見書について
議決日:平成11年12月20日
議決結果:否決
──────────────────────────────
発議第三四号
介護保険制度導入に伴う介護サービス基盤の充実強化を求める意見書について
地方自治法第九十九条第二項及び第百十二条の規定により意見書を左の通り提出する。
平成十一年十二月二十日提出
熊本市議会議員 大 江 政 久
同 上 村 恵 一
同 田 辺 正 信
同 家 入 安 弘
同 佐々木 俊 和
同 中 松 健 児
同 小 山 久 子
同 村 上 博
熊本市議会議長 江 藤 正 行 殿
意 見 書 (案)
介護保険制度導入に伴い、介護サービス基盤の充実強化を図るための諸施策を早急に講じられるよう強く要望いたします。
(理 由)
高齢社会が著しく進行するわが国において、高齢者介護は緊急の課題であり、国及び自治体が一丸となって取り組むことが何よりも重要であります。
二〇〇〇年から導入される介護保険制度を円滑かつ安定的に運営するためには、制度運営の中心となる市町村においては、限られた期間の中で、早急に準備態勢の整備を進めることが求められており、介護サービス基盤整備の大幅な拡充とともに、新たなシステムを構築するための体制の確立や人材の養成が必要であります。
しかしながら、政府は、運営主体である自治体に何ら相談もなく、高齢者の保険料徴収を半年間凍結するなど、一兆円規模の「特別対策」を実施するとしていますが、これは介護保険制度を根底から覆すものと言わざるを得ません。保険料凍結は社会保険としての意義を放棄し、家族への現金給付は介護の社会化という制度本来の趣旨に反し、これまで精力的に準備を進めてきた自治体に大混乱を持ち込むばかりでなく、国民に不安を増大させ政治に対する信頼を損なうこととなりかねません。
よって、政府におかれては、介護保険制度導入に伴い、介護サービス基盤の充実強化を図るため、次の諸施策を早急に講じられるよう強く要望いたします。
記
一 政府は、十一月に決定した「介護保険法の円滑な実施に向けて」を撤回するとともに、制度の本旨を歪めることなく、予定どおり二〇〇〇年四月から社会保険として円滑に実施すること。
二 介護保険制度導入に対応した十分なサービスを提供するため、施設整備や人材の育成・確保等基盤整備のための財政措置を拡充すること。また「新・ゴールドプラン」を完全達成するための緊急財政措置を講じ、あわせて、基盤整備率を大幅に引き上げた「スーパー・ゴールドプラン」(仮称)を策定・実施すること。
特に、在宅サービスの担い手となるホームヘルパーの養成については、養成にかかる財政措置を拡充すること。
三 財政運営について
(一) 市町村の基盤整備を促進しつつ、住民の安心に資する観点から、制度がスタートする二〇〇〇年四月からの基準保険料は全国一律二千五百円とし、三年間据え置き、そのための財政調整は、平等性の確保の見地から国が自らの責任で行うこと。
(二) 低所得者にかかる利用料の負担について軽減措置を講じること。また、第一号保険料についても十分考慮すること。
(三) 調整交付金、財政安定化基金にかかる具体的交付基準を早急に示すこと。
(四) 市町村介護保険事業計画を円滑に策定できるよう、財政措置などに十分配慮すること。
四 要介護認定については、公平・公正な審査判定ができるよう、要介護認定にかかる実行上の課題等について適正な対応策を講じること。
五 介護報酬基準の設定にあたっては、地域格差等について十分な配慮を行うこと。
六 市町村の事務連絡処理については、実行上の課題等について適切な対応策を講じること。また、所要事務費については十分な財政措置を講じること。
七 省令等に委ねられている事項については、その内容を早急に明らかにした上で、市町村の理解と納得を得て制定すること。
八 介護保険制度に関する国民の理解と協力を得るため、的確な広報を行うこと。
右、地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議 長 名
内閣総理大臣
大蔵大臣
宛(各通)
厚生大臣
自治大臣
──────────────────────────────