意見書第12号 「食料・農業・農村基本法」及び関連法・施策に関する意見書について
議決日:平成11年6月21日
議決結果:可決
──────────────────────────────
発議第一二号
「食料・農業・農村基本法」及び関連法・施策に関する意見書について
地方自治法第九十九条第二項及び第百十二条の規定により意見書を左の通り提出する。
平成十一年六月二十一日提出
熊本市議会議員 古 川 泰 三
同 下 川 寛
同 島 永 慶 孝
同 主 海 偉佐雄
同 荒 木 哲 美
同 岡 田 健 士
同 坂 田 誠 二
同 藤 山 英 美
同 田 辺 正 信
同 佐々木 俊 和
同 磯 道 文 徳
同 鈴 木 弘
熊本市議会議長 江 藤 正 行 殿
意 見 書 (案)
「食料・農業・農村基本法」及び関連法を具体的な施策として展開させるため特段の努力をされるよう強く要望いたします。
(理 由)
政府は、今通常国会に「食料・農業・農村基本法」を提出しました。法案の基本理念として、食料の安定供給の確保、農業・農村の多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、農村の振興、をあげており、その方向性については私たちも評価をするものです。しかし、具体的な施策については、必ずしも明確になっておりません。
よって、政府におかれては、地域の実情を加味した食料・農業・農村の役割や位置付けを明確にするとともに左記事項を含めた国民合意の「食料・農業・農村基本法」並びに関連施策が制定されるよう強く要望いたします。
記
一 食料自給率と主要な農畜産物の生産及びこれに必要な農地面積の目標を明示すること。
二 健康的で風土に即した、コメを中心とした日本型食生活の推進を図ること。また、地場生産・地場消費の拡大、国産品の愛用運動を進めるとともに、学校給食を含む食教育の充実、子どもたちの農林業体験学習を促進すること。
三 不測の事態に対応し、優良農地の確保、価格補償による集荷、公平な供給、万全な備蓄体制(主要食糧について概ね消費三ケ月分程度)など、総合的な食料危機対策を進めること。
四 食料の検査体制や品質表示政策を充実し、安全性を確立すること。とくに、原産地表示の拡大、遺伝子組み換え食品の表示、有機農産物の認証・表示制度を早急に確立すること。
五 食料の安定供給に必要な優良農地として五〇〇万ヘクタール以上を確保すること。また、耕作放棄地の集積利用、耕地利用率の向上、請け負い耕作など、農地の有効利用に対して積極的な支援を行うこと。
六 家族農業を基本とした専業・兼業を含めた集落営農など多様な営農形態を支援すること。また、農業生産法人の要件緩和については、事業・構成員の拡大範囲、株式の譲渡などに制限を設け、安易な要件緩和を行わないこと。
七 新規就農者等を増やすため、所得確保や社会保障などの充実を図ること。また、農業教育に対する支援対策を行うこと。
八 女性や高齢者の労働、役割に対して正当な評価を行い、支援策を充実すること。
九 麦や大豆、エサ米を含む飼料等、自給率の低い作物については、地域に適した品種改良などの技術開発を充実すること。
十 環境に配慮した農業生産をすすめること。環境保全型農業など、安全な食料生産についての研究と普及を図るとともに、認証制度などの支援措置を行うこと。また、家畜ふん尿の管理・利用について、耕種農業との連携等による堆肥化利用に支援策を講ずること。
十一 中山間地域や遠隔地などの条件不利地域での生産活動の維持や安住化促進、平地も含めた環境保全型農業などによる環境や国土の保全、景観維持の取り組みに対して、直接所得補償(=日本型デカップリング)を行うこと。制度の導入に際しては、自治体の自主性を生かした取り組みへの一括交付金方式とし、制度の透明性を図ること。
十二 農業生産向上に結びつくように、農業基盤整備と農村整備の一体的な実施を行うとともに、事業の透明性・効率性を高め、農家負担の軽減を図ること。とくに、中山間地の総合的な整備を緊急に行うこと。
十三 国際的な食料安全保障確立のため、食料支援、技術・資金協力を強化すること。また、WTO交渉にあたっては、自国の生産資源を有効活用し、国内生産体制を基本とする「新しい農産物貿易ルール」の確立をめざすこと。
十四 政策の推進に必要な農業予算を確保するとともに、農業生産の向上に結び付くよう転換を図ること。また、政策の見直しにあたっては、情報の公開と国民参加を図ること。
右、地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議 長 名
内閣総理大臣 宛(各通)
農林水産大臣
──────────────────────────────