意見書第19号 「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」(盗聴法)の廃止を求める意見書について
議決日:平成12年12月20日
議決結果:否決
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発議第一九号
「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」(盗聴法)の廃止を求める意見書について
地方自治法第九十九条及び第百十二条の規定により意見書を次の通り提出する。
平成十二年十二月二十日提出
熊本市議会議員 大 江 政 久
同 上 村 恵 一
同 田 辺 正 信
同 家 入 安 弘
同 佐々木 俊 和
同 中 松 健 児
同 小 山 久 子
同 村 上 博
同 益 田 牧 子
熊本市議会議長 江 藤 正 行 殿
意 見 書 (案)
国民の人権侵害に直結する危険な通信傍受法(盗聴法)をすみやかに廃止されるよう強く要望いたします。
(理由)
一九九九年八月に成立した通信傍受法(盗聴法)が、去る八月十五日に施行されましたが、この通信傍受は、電話・FAX・携帯電話・電子メールなどを本人に無断で盗聴するものであり、プライバシーの権利、通信の秘密を侵害し、憲法の精神を根本的に否定するものであります。従って犯罪調査の範囲と方法を限りなく拡大する恐れの強い、極めて危険な法律と言わねばなりません。
また、いくら盗聴が行われても、捜査や公で証拠判定とされるもの以外は、多くの場合盗聴されたこと自体知るすべがなく、盗聴され、人権が侵害されたことに一生気がつかないことがほとんどなのです。さらに盗聴の対象は、人間関係全部に及び電話をした相手や、かけてきた人の電話番号も記録され、ここから名前や住所もわかってしまうのです。また通信傍受法(盗聴法)は、組織的な犯罪だけが対象になるわけではなく、結果として国民すべてを対象とするものとなっています。
また、昨年八月の通信傍受法(盗聴法)の成立以降、全国の警察不祥事が一斉に発覚し、これらの警察不祥事では、犯罪を取り締まるべき警察が、常識では考えられない犯罪を繰り返していたことが明らかとなりました。しかも、一連の事件を通してより重要なことは、捜査の段階で知りえた情報を警察官が犯罪に利用していたこと、警察内での事件や不祥事が発覚するまでその事実が隠蔽されていたこと、また、発覚した後も二転三転させ、事件の真相を世間の目から隠そうとした点は誠に重大な問題であります。
しかも、先般発覚した警察が管理する犯罪歴などの個人情報が流出した事件では、警察内部から個人情報が漏洩しているとしか考えられず、このような実態の日本の警察に、盗聴法によって今以上の大きな特権を与える必要性は全くないと断言せざるを得ません。
よって、政府におかれては、国民の人権侵害に直結する危険な通信傍受法(盗聴法)を速やかに廃止されるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議 長 名
内閣総理大臣 宛(各通)
法務大臣
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