意見書第13号 家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)の防止及び被害者の保護に関する法律の早期制定を求める意見書について
議決日:平成12年12月20日
議決結果:可決
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発議第一三号
家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)の防止及び被害者の保護に関する法律の早期制定を求める意見書について
地方自治法第九十九条及び第百十二条の規定により意見書を次の通り提出する。
平成十二年十二月二十日提出
熊本市議会議員 古 川 泰 三
同 下 川 寛
同 島 永 慶 孝
同 主 海 偉佐雄
同 荒 木 哲 美
同 岡 田 健 士
同 坂 田 誠 二
同 藤 山 英 美
同 田 辺 正 信
同 佐々木 俊 和
同 磯 道 文 徳
同 鈴 木 弘
同 益 田 牧 子
熊本市議会議長 江 藤 正 行 殿
意 見 書 (案)
家庭内における女性への暴力防止に総合的に対応するため、早急に法整備を図られるよう強く要望いたします。
(理由)
被害者である女性たちが、長い間の沈黙を破り、家庭内(密室)における妻や恋人への暴力の実態が明らかになってきた。
一九九九年に総理府が初めて行った全国調査によると、四・六%(二十人に一人)の女性が夫やパートナーから「命の危険を感じるくらいの暴力をうけた」という結果が出ている。また、「医師の治療が必要とならない程度の暴行を受けたことがある」と回答した女性は一四・一%(七人に一人)にものぼる。この調査によって、家庭内の暴力が日常的に蔓延し、深刻な状況にあることが明らかになった。現実に、家庭内の暴力による被害件数は増加し、命を奪われる女性もおり、今や一刻も猶予のならない事態に直面している。
こうした事態を重要視して、男女共同参画審議会は、二〇〇〇年七月に 『女性に対する暴力に関する基本的方策について』 と題した答申をまとめ首相に提出した。答申は夫やパートナーからの暴力や性犯罪などの女性への暴力を「女性差別の意識に根ざした構造的問題」と位置づけ、新たな法制度や保護・相談体制の整備を検討するよう求めている。
また、参議院の「共生社会に関する調査会」に設けられた「女性に対する暴力に関するプロジェクトチーム」においても、「女性に対する配偶者等による暴力防止法」(仮称)の立法化に向け超党派で議論が重ねられている。
世界的にも、一九九三年国連「女性に対する暴力撤廃宣言」、一九九五年・二〇〇〇年の国連世界女性会議で、家庭内暴力は個人の問題ではなく、社会が向き合い対処していく問題であると提起がなされ、各国で法制度が整えられつつある。
よって、政府におかれては、男女が共に安心して暮らせる社会のために、加害者に対する刑事罰、公的機関による被害者女性の保護、二十四時間体制の専門相談窓口の設置などを盛り込み、「女性への暴力防止」に総合的に対応する法整備について、早急に着手されるよう強く要望いたします。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出いたします。
平成 年 月 日
議 長 名
内閣総理大臣 宛(各通)
法務大臣
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