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熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
令和5年7月6日提出
熊本市議会議員 西岡誠也
同 上田芳裕
同 上野美恵子
同 井芹栄次
熊本市議会議長 田中敦焉@様
意 見 書 (案)
畜産農家の経営継続を保障するため、所要の施策を講じられるよう要望いたします。
(理 由)
畜産分野では、もともと輸入に依存していた配合飼料が既に一昨年から高騰していました。さらに、昨年より輸入乾燥牧草や哺乳用粉ミルク、電気代、燃油、農業機械などの畜産に欠かせないあらゆる資材が高騰し、過去にない生産コスト高となりました。一方、農畜産物価格は、コスト増を価格に転嫁できないまま低迷しています。乳価は横ばいであり、肉牛生産農家の経営困難により子牛の買い手がつかず子牛価格が暴落するなど、酪農家はかつてない困難に直面し次々に廃業に追い込まれるような状況にあります。現状のまま国が対策を取らなければ、全国の酪農家戸数が1万戸を切るのも時間の問題という危機的状況です。畜産は、国民の命と健康に不可欠な新鮮な牛乳や肉、卵などを提供するだけでなく、家畜排せつ物は土壌の微生物にとっての“主食”でもあります。耕畜連携でなければ、持続的な農業は成り立ちません。畜産の危機は、農業危機とも言えます。
これまで政府が補助金まで出して行ってきた生産調整(減反)によって、自給率の低い麦や大豆、飼料用米、牧草などの転作を進めてきたことは、国内での飼料生産を落ち込ませ、輸入に頼らざるを得ない状況を作り出してきました。そこに、輸入飼料や牧草などの価格が高騰したことで、今後は飼料の入手さえ危ぶまれる状況になっています。倒産や離農が全国で数多く生まれている中で、とりわけ、畜産経営者の倒産や自死等は深刻です。全ての畜産農家が経営を継続するためには、緊急かつ更なる支援が必要です。
よって、政府におかれては、下記の事項について、緊急かつ特段の措置を講じられるよう強く要望いたします。
記
1 肥料・飼料・燃油などの価格高騰に対する特別対策を緊急に実施するとともに、中長期的には農業資材の国内産への転換を目指すこと。
2 当面は配合飼料価格安定基金への財政支援を強め、補填財源の不足が生じないようにし、高騰が長期化する場合、高騰前の価格を基準に補填できるよう抜本的に改善すること。
3 政府として乳価の大幅引上げをメーカーに要請するとともに、生乳生産費が販売収入を下回った場合は差額を補填する「酪農マルキン」制度を創設すること。また、加工原料乳の補給金単価を引き上げること。
4 乳製品の輸入を減らし、国産の備蓄を増やすなど政府の責任で生乳需給の安定を図ること。
5 輸入飼料に依存する大規模化に偏重した畜産経営から、畜産政策の基本を日本の大地に根ざした中小家族経営を重視する方向へと転換すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
令和 年 月 日
議長名
内閣総理大臣
農林水産大臣