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請願の詳細情報

請願第19号(平成19年) 「最低賃金の大幅引き上げと全国一律最賃制の法制化、およびそれを支える適切な中小企業振興策を求める意見書」を国に対して上げていただくことを求める請願

受理番号
請願第19号
(平成19年)
受理年月日
平成19年12月10日
付託委員会
経済
委員会付託日
平成19年12月10日
議決結果
不採択
議決年月日
平成19年12月21日
紹介議員
益田牧子

内容

請願第19号
(平成19年)
  「最低賃金の大幅引き上げと全国一律最賃制の法制化、およびそれを支える適切な中小企業振興策を求める意見書」を国に対して上げていただくことを求める請願


 主 旨
   来年度の最低賃金改定にあたり、現在国会で審議中となっている「最低賃金法改正案」における憲法二五条を基礎にした「生活保護に係る施策との整合性」および「成長力底上げ戦略推進円卓会議」における「賃金底上げに関する議論にも配慮したもの」となるよう、国に対して意見書を上げていただくこと。同時にそれを支えるべく、適切な中小企業振興策を図ることを国に対して求めていただくこと。

 理 由
   まずはじめに、今年度の最低賃金審議会の「八円引き上げ」の答申を受けて、わたくしども熊本県労連は、以下のような理由で、労働局に対し「不服の意義申し出」をしました。一 熊本県労連が「意見書」で求めた「時間額一000円」との開きが、大きすぎること。二 熊本労働局長が、本年の諮問に当たって特別に盛り込んだ「成長力底上げ戦略推進円 
卓会議における賃金底上げに関する議論にも配慮したもの」とは、到底なり得ていないこと。
三 中央と地方の格差を事実上、さらに拡大する中央最低賃金審議会の目安答申を是正するためには「A=一九円」以上の引き上げが必要であるにもかかわらず、それには遠く及ばない額であること。
四 現在継続審議となっている最賃法改正案において、改正案の中心的支柱となっている「生活保護に係る施策との整合性」に照らして、今回の最賃額「六二0円」をみた場合、熊本県の最低級地である「三―二」の六五七円にも達していないこと。
五 今年度の審議会における使用者側委員の主張「目安を上回る引上げの根拠がない」「疲弊が進む中小企業にとっては大変な痛手で、経営難に拍車をかける」という主張に、客観的・科学的根拠がなく、まったく説得力がないこと。
この使用者側委員の主張に対して、熊本県労連は独自調査に基づく資料を添付して以下のとおり反論した。
・はじめに使用者側の主張は、現在の新自由主義に基づく経済政策が施行されている下
で、地方における中小零細企業の経営を守るためには、「グローバリズムに対抗するローカリズムの視点に立った施策」の必要性を論じた熊本県労連提出の意見と実行動に対して、何ひとつ応えたものになっていないことを指摘する。(熊本県労連は行政による適切な中小企業振興策とみずから実施しているショッピング・イン・マイタウン運動のような、住民がみずから気付くことにより身近にできる地元経済復興策の必要性を主張している)その上で、最賃の引上げは、「消費購買力の向上」がもたらす中小零細企業振興への一番の特効薬になるものと考える。
・また、今回の使用者側委員の意見を受けて、私ども熊本県労連は、熊本県における中小零細企業の経営実態を把握するため、緊急に本年八月三0日時点でのハローワークが発表している二六九一件のパート求人情報から平均求人時給を調査した。また、同日発行の地元求人情報誌の「パート・アルバイト」の項目から四0四件の求人情報を調査し平均時給を算出した。
・ その結果、ハローワークにおけるパート求人時給平均が七八二円であること。また、
求人情報誌における求人時給平均が七八六円であることが判明した。ハローワークの数字で最賃答申六二0円との差は一六二円、求人情報誌の数字で一六六円もあり、この事実は使用者側委員が指摘する「疲弊する中小企業の姿」にまったく説得力がないことを証明した。
わたくしども熊本県労連の立場は、使用者側委員の主張する中小零細企業の厳しさを否定するものではない。中小零細企業に働く労働者を主体に、多数を組織している労働組合として、企業経営者と同様にその厳しさを肌で実感しているつもりである。だからこそ、感覚的な議論ではなく、科学的な数字をもとにした議論を望む。少しでも安く、しかも質のいい労働力を獲得しようと苦悩する中小零細企業の実態が、「七八0円を超える求人時給」の数字には表れていることを客観的にとらえるべきである。その意味で、使用者側委員を中心にした最賃審議会の最後の「一円」をめぐる攻防が、何を根拠にした攻防であったのかがまったく理解できない。最賃審議会は、最低賃金にまさに生活を左右させられている低賃金で働く非正規の労働者に対し、その説明義務を負っていると考える。
わたくしども熊本県労連は、以上の観点から本年度せめて熊本の生活保護基準を超える最低賃金額への改定を改めて要求する。同時に、来年度の改定に当たり、最賃法改正案の趣旨および成長力底上げ戦略推進円卓会議の賃金底上げ議論を活かした最低賃金の大幅引上げに向け、中小零細企業の振興策も含めた具体的議論の開始を急ぐことを求める。
わたくしども熊本県労連は、概略以上のような異議を申し出ました。今、わが国は「格差と貧困」「ワーキングプア」という言葉に象徴されるように、この間推し進められてきた労働法制の規制緩和政策によって、大企業が史上空前の利益を更新し続ける一方で、働くものの三分の一が非正規労働者、若年層では実に半数が非正規労働者で、しかもその大半が年収二00万円以下の低所得を強いられるという悲惨な状況が続いています。さらにいま、定率減税の全廃による住民税の大幅な増税、ガソリンの値上げ、医療制度の相次ぐ改悪等で、県民生活はまた大きな負担を強いられている状況です。
 熊本県労働白書によれば、熊本県では「格差と貧困」の傾向がいっそう強く示され、労働者にとって非常に厳しい状況が続いていることが具体的に示されています。その意味で、最賃審議会に対し熊本県の労働状況を進言する地方自治体の役割は非常に重要です。同時に、地域別最低賃金額が、今まさに多数を占めるその低賃金労働者の命とくらしと直結しているといっても過言ではない状況を考えるとき、地方議会から国に対し意見を上げることが大きな力を生み、国を動かす力になると考えます。
 憲法第二五条、労働基準法第一条および、第三二条に則るならば、この国の法が定める最低時間給は、一日八時間働けば、最低限度の生活が営めるものでなければなりません。しかし、現在の最低賃金額は、最低限度の生活を営むどころか、健康に生きていくことすら保障できない金額です。
  以上の理由により、「最低賃金の大幅引き上げと全国一律最賃制の法制化、およびそれを支える大切な中小企業振興策を求める意見書」を地方自治法第九九条の規定により提出していただくよう強く要請いたします。

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