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意見書・決議の詳細情報

意見書第26号 消費税インボイス制度の中止を求める意見書について

意見書番号
意見書第26号
議決年月日
令和04年12月20日
結果
否決

内容

消費税インボイス制度の中止を求める意見書について

 熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
 
  令和4年12月20日提出
       
熊本市議会議員  西岡誠也
同        福永洋一
同        上野美恵子
同        那須 円

熊本市議会議長 原亨 様

意  見  書 (案)

地域経済・地域社会を支える小規模・零細事業者を守るため、また地方自治体の取引から免税事業者を排除させないために「インボイス制度」導入を中止されるよう要望いたします。

(理 由)
2019年10月から消費税率が10%へ引き上げられ、併せて2023年10月から消費税の仕入税額控除の方式として「インボイス制度」導入が決められました。
2021年10月から、インボイスを発行するための事業者登録も始められ、導入準備が進められていますが、11月25日の地元紙において、今年10月末時点の同事業者の登録割合は全国平均が45%なのに対し、県内は37%にとどまることが報じられました。
また、同制度に対し中止又は延期を求める地方議会からの意見書の件数は、5月末には175件だったものが7月末は423件と、僅か2か月間で248件も増加しています。
インボイス制度が導入されれば、これまで消費税を納税する必要のなかった小規模・零細事業者に新たな税負担が発生し、大きな影響が生じます。
国勢調査や法人企業統計調査などのデータによれば、個人・法人の事業者数は約800万者で、そのうち消費税課税事業者が315万者で、残り約480万者が免税事業者と見られていますが、財務省はそのうち161万者が課税事業者になると試算しています。しかし、実際にはこれに農家や個人タクシー、大工の一人親方など、様々な業種の人が加わり、さらには国勢調査で自営業者に分類されない「フリーランス」、つまりは接待を伴う飲食店従業員や芸能関係者、配達員、電気・ガスの検針員、声優、アニメーターなど、雇用契約のない非正規労働者のような勤労形態の人が加わります。そして、全国に70万人と言われるシルバー人材センターの会員も課税対象となります。
消費税増税によって冷え込んだ消費低迷に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少、さらには物価高騰による経営への深刻な影響も生じています。二重三重の負担が事業者の経営を圧迫する中で、インボイス制度が導入されれば、倒産・廃業に追い込まれる事業者が格段に増えることは間違いありません。
日本経済の裾野を支え、地域経済・地域社会の支えとなってきた小規模・零細事業者の減少は、地域社会の衰退へもつながっていきます。
今必要なことは、コロナ禍に苦しんでいる事業者の事業継続を最大限に応援し、コロナ禍及び物価高騰の中で、地域社会と日本経済を速やかに回復へと向かわせる国の支援です。それに逆行する「インボイス制度」導入は絶対にすべきではありません。
また、地方自治体との取引や入札においても、免税事業者を排除するなどインボイス制度が与える影響が懸念されています。例えば、水道事業の土木工事において、水道関係担当部局が仕入税額控除をするために受注者に消費税のインボイスを求めなければならず、インボイスがなければ工事等の受注から排除されると明記した自治体もあります。これは、地方自治体の特別会計や企業会計については、民間の事業者と同様に、消費税を納税しなければならないからです。
こうした免税事業者の排除に関する問題は、公共事業のみにとどまらず、物品やサービス業務、ポスターやチラシの印刷など、あらゆる業務の取引に影響を及ぼします。公共工事や公共調達から小規模事業者を切り捨てる行為であり、許されるものではありません。また、地域経済にも多大な影響を与えるものであり、熊本市中小企業・小規模企業振興基本条例の精神にも反するものです。
よって、政府におかれては、2023年からのインボイス制度実施を中止されるよう強く要望いたします。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
  
令和  年  月  日

議   長   名

内閣総理大臣  
財務大臣
経済産業大臣

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