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意見書・決議の詳細情報

意見書第38号 改定出入国管理法の廃止を求める意見書について

意見書番号
意見書第38号
議決年月日
平成30年12月27日
結果
否決

内容

熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
 
  平成30年12月27日提出
       
熊本市議会議員  田尻将博
同        上田芳裕
同        西岡誠也
同        上野美恵子

熊本市議会議長 くつき信哉 様

意  見  書 (案)

外国人労働者の過酷労働と人権侵害を助長する危険性のある改定出入国管理法を廃止されるよう要望いたします。

(理 由)
外国人労働者受け入れを拡大する改定出入国管理法が12月8日、可決・成立しました。
同法については、新在留資格「特定技能」を設け、「人手不足」とされる業種に多くの外国人労働者を受け入れることを内容としていますが、国会での審議を通じ、外国人労働者の人権を侵害する働かせ方が次々と明らかになり、改定法がその深刻な実態に歯止めをかけるどころか、過酷労働に一層拍車をかける危険性が浮き彫りになっています。
第一の問題は、「人手不足」を理由に、外国人労働者を雇用の調整弁にしようとしていることです。新設される「特定技能1号」の在留資格は、1年ごとの更新制です。また、在留の前提となる雇用契約は1年以下、例えば3カ月の短期契約も可能となっています。さらに、派遣契約も排除していません。つまりは、「5年」を上限として、雇用契約や在留期間を短期で繰り返す外国人の非正規労働者を作り出すものであり、その上、受け入れ業種や規模・人数など、具体的なことは全て「省令以下」に委ねる白紙委任となっており、法の体をなしていません。
二つ目の問題は、安倍政権が外国人技能実習制度を温存し、新制度で積極的に活用するとしていることです。実習生からの移行を前提に、受入れ先14業種のうち13業種が実習生からの移行を行うとし、その多くが8割から10割の移行を見込んでいます。
政府は、全国各地で問題となってきた外国人技能実習生の劣悪な労働環境や人権侵害等に関する実態を明らかにせず、同制度の下で失踪する実習生が昨年7,000人超と深刻化していることなどについて、まるで実習生が勝手に仕事を投げ出したかのような印象の資料をまとめ、国会で大臣が虚偽答弁を繰り返しました。
失踪した技能実習生からの聴取票は、実習生の実態を解明するうえで不可欠な資料ですが、その提出を政府・与党が拒否する中でも、野党が884枚の聴取票を調べたところ、86%が最低賃金を下回っていたことが明らかになったほか、暴力やセクハラなどの人権侵害も浮き彫りになっています。国際貢献を建前としつつ、実際には劣悪な労働条件で働かせ、本音と建前を使い分ける欺瞞的な受け入れを続けてきたことが、矛盾を拡大させ、多くの実習生を苦しめています。
安倍総理は、法案審議において、技能実習生の実態が改善されるかのような答弁をしていますが、本法には実習生の処遇を改善する規定は一つもありません。参考人質疑では、「母国や日本国内でのブローカー規制がまったくない」、あるいは「人材派遣ビジネスが横すべりしてくるのではないか」などの指摘が相次ぎましたが、こうした課題は野放しのままです。
劣悪な状態にある技能実習生をそのまま使い続けるために、本法の施行を実施することは許されません。
よって、政府におかれては、改定出入国管理法について、速やかに廃止されるよう強く要望いたします。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
 
平成  年  月  日

議長名

内閣総理大臣
法務大臣
厚生労働大臣

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