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意見書・決議の詳細情報

意見書第18号 集団的自衛権に関する憲法解釈を変更することに反対する意見書について

意見書番号
意見書第18号
議決年月日
平成25年10月4日
結果
否決

内容

熊本市議会会議規則第13条第1項の規定により意見書を次のとおり提出する。
 
  平成25年10月4日提出
       
熊本市議会議員  田辺正信
同        家入安弘
同        上田芳裕
同        東すみよ
同        益田牧子

熊本市議会議長 齊藤 聰 様

                    意  見  書 (案)

集団的自衛権に関する憲法解釈を変更することのないよう要望いたします。

(理 由)
 集団的自衛権について、歴代政府は、「国際法上、当然に集団的自衛権を有しているが、これを行使して、わが国が直接攻撃されていないにもかかわらず他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することは、憲法第9条のもとで許容される実力の行使の範囲を超えるものであり、許されない」としてきました。
 しかし、過日の参議院選挙での与党の勝利を背景に、集団的自衛権の行使を憲法解釈の変更によって容認しようという動きが急速に強まっています。
 小野寺防衛大臣は、集団的自衛権の行使容認の検討を加速すべきだと主張しています。また、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の柳井俊二座長は、これまでの四類型の見直しにとどまらず、集団的自衛権の行使を全面的に容認する新たな憲法解釈を提言する内容の報告書を秋にもまとめる考えを表明しています。そして、政府として、安保法制懇の報告に沿って憲法解釈の見直しを行うであるとか、年内に改定する防衛計画の大綱に安保法制懇の報告内容を反映させる考えが示されています。
 さらに、集団的自衛権の行使は許されないと解釈してきた内閣法制局の長官人事についても、憲法解釈の一貫性の観点から内閣法制次長の昇任が続いてきた慣例を破って、安保法制懇の実務に携わっていた小松一郎・駐フランス大使を起用しました。
 また、自民党が昨年7月に概要をまとめた「国家安全保障基本法案」は、政府が憲法上許されないとしている集団的自衛権の行使を、厳格な憲法改正の手続を経ることなく、法律により容認しようとするものであります。同法および関連法の制定が実現されれば、「法が憲法を凌駕するもの」となり、「下位法による法の下克上」の完成型として、9条の有名無実化を決定づけることになります。
 しかし、各種世論調査では、政府に一番に取り組んでほしい国内の課題は「景気回復」が最多であり、集団的自衛権については、十分な国民的論議もなされているとは言えません。集団的自衛権の行使容認を多くの国民は求めておらず、白紙委任などはされていません。与党の勝利と民意との間にはねじれがあることを自覚すべきであります。
 国の安全保障政策は、立憲主義を尊重し、憲法前文と第9条にもとづいて策定されなければなりません。憲法前文や第9条によって禁じられている集団的自衛権の行使を、時々の政府や国会の判断で解釈を変更することによって180度転換し、また集団的自衛権の行使を認める新たな法律を制定し「法の下克上」によって根本的に変更することは、立憲主義に違反するきわめて危険な動きであります。とりわけ集団的自衛権をめぐる議論は、これまでに立法府において積み重ねられてきており、これを無視して強引に解釈を変えようという試みは、国会答弁をも形骸化させるものであり、立法府の立場からも決して許されるものではありません。
 よって、政府におかれては、下記の事項について誠実に対応されるよう強く要望いたします。



1 集団的自衛権に関するこれまでの政府見解を堅持し、集団的自衛権行使に道を開く憲法解釈の変更を断じて行わないこと。
2 集団的自衛権の行使を容認する「国家安全保障基本法案」の国会提出を行わないこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
  
平成  年  月  日

議長名

内閣総理大臣
防衛大臣  

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